産総研など、3Dプリンターで入れ歯 コスト半分以下に
産業技術総合研究所(茨城県つくば市)と歯科用合金製造・販売のアイディエス(東京・文京)は、3Dプリンターを使ってコバルトクロム合金粉末から壊れにくく患者に適した入れ歯を短時間で製造する技術を開発した。従来の鋳造に比べて製造期間が3分の1以下、材料コストが半分以下になるとみており、早期の実用化を目指す。

まず、口腔(こうくう)内の3次元形状を計測するスキャナーで取得したデータをもとに患者に適した入れ歯を設計。次に3Dプリンターで直径50マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル以下のコバルトクロム合金粉末をレーザーで加熱して溶かし、幾層にも重ねていくことで入れ歯を作り上げる。
従来の鋳造では、口腔内の型を取って石こうで模型を作ったうえで入れ歯の型を製作し、溶かした金属を流し込むなど多くの工程があった。新技術では製造期間を短くし、材料を減らし、精度が向上するなど利点が多いとしている。
アイディエスが海外製のコバルトクロム合金粉末の薬事承認を取得し、産総研は材料の耐久性など安全性を評価した。2年以内に保険適用や、国産粉末も新たに作り薬事承認を目指す。アレルギー患者にも配慮し、チタン粉末を使った入れ歯の開発も進める。
40代以上から歯が抜ける本数が増え、部分入れ歯や総入れ歯など複雑な立体構造を持つ入れ歯を使う人が急増する。欧米では入れ歯の製造に3Dプリンターを活用した事例があるという。