下町50ccバイク、目指せ世界最速 中小29社が結集

中小企業の町工場など29社が集結し、排気量50ccクラスの二輪車で世界最速を目指す「下町バイク」計画が始動した。世界で1億台以上を販売したホンダの二輪車「スーパーカブ」のエンジンをベースに、風の抵抗が少ない流線形の車体など約1千点の部品を町工場が自前技術を駆使して製造する。毎年8月に米ソルトレークシティーで開催されるモータースポーツ競技会の2019年大会での記録樹立を目指す。
このほど始動した下町バイク計画「スーパーミニマムチャレンジ」は排気量50ccの二輪車で08年にイタリア企業が樹立した時速233キロメートル超えを目指す。日本国内の同クラスの最高記録は時速160キロメートル弱と言われており元レーサーでプロジェクトの発起人である近兼拓史氏(56)は「非常に厳しい目標だが、ものづくり大国日本の最高技術を結集してなんとか実現したい」と意気込む。排気量50ccにこだわる理由として近兼氏は「日本のお家芸とも言えるミニバイクの分野で世界一の称号を取り戻したい」とした。
国内最大級のものづくり受発注サイトを運営するNCネットワーク(東京・台東、内原康雄社長)が事務局となり会員企業のなかから金属加工技術に秀でた町工場に声をかけ参加を募った。潤滑剤などのスズキ機工(千葉県松戸市)、精密加工のヒューテック(大阪市)などが参加する。一部のシャフト素材を鉄から軽量化できるチタンに変えたり、腐食しにくい表面処理を施すなど一つずつの部品に細かい加工を施し、組み上げていく。
NCネットワークの内原社長は「このプロジェクトを通じ、若い世代がものづくりを面白いと感じ製造業の業界で活躍したいと感じてもらうことも目的の一つ」と解説した。
まずは、今年8月に開催される競技会に排気量125ccのエンジンを使った試作車で参加し、基礎データなどをとって本番と見据える来年大会に備える考えだ。試作車を含め二輪車2台の制作費は最大6000万円を見込む。日進工具が主要スポンサーを務める。
(京塚環)