2018年9月25日(火)

米中IT大手 巨大化の行き着く先(The Economist)

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The Economist
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2018/7/20 5:50
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 企業はどこまで大きくなれるのだろうか。もし米アップルの株価が9%値上がりすれば、同社の時価総額は1兆ドル(約110兆円)を超える。年600億ドルに上る利益がこの規模を支えている。地球上のすべての人が8ドルずつ、アップルにもうけさせているようなものだ。

 だが、これから示す事実を知れば、同社の経営陣と投資家は冷や汗をかくに違いない。その利益の額をGDP(国内総生産)の値と比較すると、アップルの利益はあまりにも巨額で、危険水域に入りつつあるのだ。

 この危険水域に足を踏み入れた企業は、東インド会社やジョン・ロックフェラーが興した米スタンダード・オイルなど、わずかな数にとどまる。歴史が何らかの指針になるなら、アップルがこれ以上巨大化するのは難しいだろう。米アマゾン・ドット・コムや中国のアリババ集団など、米国や中国を拠点とする他のハイテク企業も、この限界を試す段階に達しつつある。

アップルの利益はあまりに大きく、政府介入を招きそうな規模になりつつある=ロイター

アップルの利益はあまりに大きく、政府介入を招きそうな規模になりつつある=ロイター

 かつて、株式時価総額が1兆ドルを超えた企業が1社だけある。中国の国有石油企業、中国石油天然気 (ペトロチャイナ)が2007年に15日間だけ、この壁を突破した。しかしながらこれは、上海証券取引所が投機熱に沸いていたことを反映するものだった。

 とにもかくにも、時価総額の名目値よりも、企業の利益の大きさが重要なのだ。利益をめぐる鉄則などないが、常識的に考えて限界はあるだろう。巨額の利益は、その企業の製品がこれ以上普及する余地が乏しいことを示唆する。力の集中が競争上の、もしくは政治的な反発を呼ぶ恐れもあるかもしれない。

■政府介入招いた6社

 巨大企業の中でとりわけ目を引くのが次の6社だ。あまりにも大きくなり過ぎたため、政府の介入を招いた。1813年には東インド会社が、長らく享受してきた、インド貿易をめぐる独占権を失った。同社は英国の巨大民間企業で、アヘンの生産など様々な事業に携わっていた。1911年には米連邦最高裁判所がスタンダード・オイルの分割を命じた。ポピュリズムが米国を席巻すると、政府は金ぴか時代を代表するもう一つの巨大企業、USスチールに対する法廷闘争を開始した。

 独占禁止法当局は、69年には米IBMを標的とした。74年には、米AT&Tから通信事業を独占的に支配する力を奪う動きに出た。さらに98年には司法省が、市場における独占的立場を悪用しているとして米マイクロソフトを提訴した。

 こうしたマンモス企業の規模を測るのに最適な方法は、各企業が本拠を置く国のGDPを分母に、利益の額を分子にした割合を見ることだ。利益の値はかなり信頼性が高く、これらの企業が懐にする金額の規模を捕捉することができる。本誌(英エコノミスト誌)は、これらの企業が規制当局と対決している最中もしくはその直前における利益のピーク値を調べ、当該企業が本拠を置く国のGDPと比較した。

 注意しておくが、この作業は推測を伴う(東インド会社の財務諸表には「略奪品」という科目がある)。GDPが公表されるようになったのは第1次世界大戦以降であり、それ以前は学術的な推計値しか存在しない。東インド会社やスタンダード・オイルのデータの出所は企業の報告書ではなく、歴史書や裁判所、議会の文書である。

■すでに危険水域に接近もしくは域内に

 この作業から3つの明確な結論が得られた。第1に、これら6社が困難に見舞われた時、GDPに対する利益の割合は0.08~0.54%(中央値は0.24%)に達していた。東インド会社はこの範囲の上限に、IBMとマイクロソフトは下限に位置した。

 第2に、今日の米中のハイテク巨大企業はすでに、この危険水域の下限に接近しているか、既に入っている。ちなみに、米バークシャー・ハザウェイなど、数社の非ハイテク企業も同様の規模にある。アップルは他の企業よりも規模が大きく、利益はGDPの0.28%に上る。

 第3に、これらの巨大ハイテク企業に対する評価は目がくらむほどに高く、その利益が今後もさらに増加することがうかがえる。もし投資家の期待通りに推移すれば、アマゾン、アップル、米アルファベット、マイクロソフトの利益のGDP比はすべて、2027年までに0.24%を突破するだろう。米フェイスブック、中国の騰訊控股(テンセント)、アリババも僅かの差でこれに続く。

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