2018年9月23日(日)

トランプ氏に反発相次ぐ 米ロ会談、見えぬ成果

トランプ政権
ヨーロッパ
北米
2018/7/17 20:00
保存
共有
印刷
その他

 【ワシントン=永沢毅、ヘルシンキ=中村亮】ロシアのプーチン大統領との会談を終えたトランプ米大統領は16日、米ロ関係の改善の必要性を改めて訴えた。両首脳は核軍縮やシリア内戦の収束などに向けて連携をうたったが、具体的な成果は乏しい。ロシア疑惑の火種がくすぶり続けるなかで、米議会や同盟国からは側近の制止を差し置いて親ロに傾斜するトランプ氏への批判が相次いでいる。

16日、記者会見で握手を交わすトランプ米大統領(左)とロシアのプーチン大統領(ヘルシンキ)=AP

 16日、ヘルシンキのフィンランド大統領公邸。「私たちはより明るい未来へ最初の一歩を踏み出した」。トランプ氏はプーチン氏との共同記者会見で、1年ぶりに実現した首脳会談の成果を力説した。プーチン氏も「冷戦は過去のものだ。会談の結果に満足している」と同調した。

 両首脳は成果を次々に誇示してみせた。「米ロの共同作業で最初の模範的な事例となる」。プーチン氏がシリア内戦で周辺国に逃れた避難民の移送での連携についてこう触れると、トランプ氏は「私たちが協力すれば、数十万もの命を救える」と歩調を合わせた。トランプ氏は北朝鮮との非核化交渉について「ロシアは協力してくれるだろう」と期待感を表明した。

 ただシリアではロシアが後ろ盾となるアサド政権と、米国が支援する反政府勢力による内戦の構図は変わらない。米国は北朝鮮が非核化を終えるまでは制裁を続ける方針だが、ロシアは国連の制裁で禁じられている北朝鮮からの石炭輸出を陰で手助けしているとされる。米ロ首脳の握手は、事態の打開に向けた決め手に欠けるのが現実だ。

 米紙ワシントン・ポストによると、ポンペオ国務長官やボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)らはトランプ氏に対し、2016年の米大統領選でのロシアの干渉疑惑やウクライナ問題などについてプーチン氏に強い姿勢で臨むよう繰り返し助言していたという。しかし、トランプ氏がこれらの問題で強くプーチン氏に迫った形跡はうかがえない。

 「ロシアが干渉する理由が見つからない」。むしろトランプ氏は会見で干渉を否定するロシアに理解を示すかのような発言をした。干渉の疑いで13日にロシア軍情報当局者12人を起訴した米司法当局の主張とは正反対だ。会談の直後には、ロシア人の女が米国内でのスパイ容疑で逮捕されたことも明らかになった。

 ロシアによる支援が事実なら、大統領選勝利や大統領としての正統性が揺らぐ。首脳会談の直前の起訴を受け、トランプ氏は周辺に怒りをぶちまけたとされる。

 米国内では党派を超えて懸念が広がっている。「記憶にある限りで、米大統領として最も恥ずべき行為の一つだ」。共和党の重鎮、マケイン上院議員はこうトランプ氏を批判。クラッパー元国家情報長官は米CNNテレビで「米大統領がプーチン氏に屈服し、脅されているかのようだった」と語った。

 ホワイトハウスや国務省では、米ロ首脳会談の開催への慎重論が強かった。しかしトランプ氏は「会談を拒否するのは簡単だ。でも、会わなければ何も達成できない」「平和追求のため政治的なリスクをとる」などと主張し、実現にこだわった。

 トランプ氏は15日放送の米CBSテレビのインタビューで、巨大な貿易赤字を抱える欧州連合(EU)との関係を「EUは敵だ」と批判した。EUのトゥスク大統領は「誰が重要な友人なのか。誰が重要な問題を引き起こしているのか」と述べ、トランプ氏の反EU・親ロの姿勢に苦言を呈した。

 ロンドンやヘルシンキでは市民がデモを実施し、トランプ氏の訪問に抗議した。米ロ接近をはかりつつ、同盟国を軽視する発言を繰り返すトランプ氏。米欧の亀裂は一層広がっている。

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報