2018年11月19日(月)

カウントダウン東京2020

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お金がなければメダルは取れない… その先は
編集委員 北川和徳

2018/7/18 6:30
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2020年東京五輪の開幕まで間もなく2年を切る。日本のアスリートの強化は順調に進んでいる。柔道、体操など伝統的にメダルを量産する競技に加えて、卓球やバドミントンも台頭。陸上男子短距離陣の充実ぶりもめざましい。日本オリンピック委員会(JOC)は過去最多からの倍増に迫る金メダル30個の目標を掲げた。

バドミントンの団体世界一を決める国・地域別対抗戦、女子ユーバー杯で優勝した日本代表=共同

バドミントンの団体世界一を決める国・地域別対抗戦、女子ユーバー杯で優勝した日本代表=共同

「お金がなければメダルは取れない」。日本のアスリートの強化拠点である東京・西が丘のハイパフォーマンスセンターを訪れると、そんな現実を痛感する。2年後を目指す代表候補選手たちが、医科学サポートを受けながら、以前なら考えられなかったような充実した設備のもとで鍛えている。

01年に国立スポーツ科学センター(JISS)が、続いて08年に味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)がオープン。選手強化に国が投入する税金の額と比例するように、じり貧だった日本のメダル数は再び増え始めた。

もちろん、勝つためにはアスリートの努力が大前提となる。ただ、お金がメダル獲得を左右するこんな事例がある。NTCの体操練習場の器具は、五輪で採用メーカーが変わるごとに入れ替わる。理由は器具を試せば一目瞭然だ。日本製とフランス製の床に立たせてもらって驚いた。足の沈み込む感触が素人でもわかるほどまったく違う。五輪本番に普段の練習とは違う床で跳ぶとなると、白井健三(日体大)だって完璧な演技は無理だろう。

器具入れ替えの費用はメーカーによってかなり異なるが、数千万円単位でかかる。NTCオープン前の04年アテネ五輪。日本体操協会は自前の体育館を建設するために積み立てていた基金を取り崩して資金を工面し、アテネ五輪で採用された器具をJISSの練習施設に設置、男子団体での28年ぶりの金メダル獲得につながった。

アテネ五輪の男子体操団体で金メダルを獲得した日本代表

アテネ五輪の男子体操団体で金メダルを獲得した日本代表

今では体操器具の入れ替えは強化費として予算化された。体操は男子に続いて女子も好成績が期待できる競技となった。費用対効果は極めて高い。

13年には約8億円をかけてJISSに風洞実験施設が設置された。平昌五輪のスピードスケート女子団体追い抜きで金メダルを獲得した日本チームは、空気抵抗を減らす隊列を組むために同施設を活用した。同じような事例は探せばいくつもみつかるだろう。

自国開催の大イベントを控え、税金によるスポーツ支援は増え続けている。18年度のスポーツ予算は340億円に達した。五輪選手とパラリンピック選手が共用する第2トレーニングセンターのオープンも迫っている。

国からこれほどの資金が投入される以上、JOCも各競技団体もメダル獲得目標をノルマと考えて必死になる。だが、メダルを獲得すれば責任を果たせたとは考えないでほしい。メダル数はゴールではない。

東京大会をきっかけに競技人口を拡大し、スポーツの社会的な価値を高め、持続可能な社会の実現に貢献する。税金投入の費用対効果を最大化する。真のゴールを忘れてはいけない。

(20年東京五輪開幕まであと737日)

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