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MRJ、開発遅れ挽回狙う 小型機市場2強に挑む

【ファンボロー〈英南部〉=星正道、篠崎健太】世界最大級の航空展示会「ファンボロー国際航空ショー」が16日、ロンドン近郊で開幕した。三菱航空機(愛知県)が手掛ける小型ジェット旅客機「MRJ」は初の飛行展示に臨むが、1年以上受注から遠ざかっており、開発費負担の重さから債務超過にも陥った。米ボーイングと欧州エアバスの2強は相次ぎ他社の小型機事業を傘下に収め、大型機から小型機まで守備範囲を広げる。MRJは競争力を保てるか。

「MRJ」は16日、初の飛行展示を実施した(英ファンボロー)

商戦の舞台となるロンドン郊外のファンボローの空港。その一角では青色の全日本空輸(ANA)のデザインに塗装されたMRJがエアショーでの初飛行を前に待機する。ANAは2020年に商用飛行するMRJの第1号顧客だ。

エアバスはボンバルディアから買収した新型小型機「Cシリーズ」を「A220」に改称して披露した(16日、英ファンボロー)

今回、航空ショーで初めて空を舞うとあって、エアラインに開発が進んでいる姿を示す絶好の機会となる。だが、MRJ事業の前途は容易ではない。

MRJのライバルとなるエンブラエルの新型小型機「E190-E2」(16日、英ファンボロー)

開発の峠は越えそうだが、三菱航空機の2018年3月期末の債務超過額は1100億円となり、17年3月期末から2倍以上に増加した。受注は1年以上なく、1月には顧客の米イースタン航空から受注総数の約1割に相当する40機のキャンセルも発生した。イースタンの他社への事業譲渡という外的な理由だが、早期の黒字転換を狙うなか痛手となった。

電気配線や計器室配置の変更などが影響し、08年の開発開始からこれまで5度、納期を延長した三菱航空機。同社がもたつくなか、座席数100席程度以下のリージョナルジェット機(RJ)を含む小型機市場はこの1年足らずで大きく様変わりした。

ファンボローの会場でMRJの機体の先に飛行の出番を待つ「A220」。この機体はもともとボンバルディア(カナダ)の新型小型機「Cシリーズ」だったが、7月に同事業をエアバスが買収、名称を変更した。

エアバスはCシリーズのような座席数100~150席規模の機体ラインアップが不足していた。他方、ボンバルは営業力の弱さを露呈しCシリーズの受注は約400機にとどまるなど苦戦続き。だが、豊富な資金力と世界のエアラインへの販路、人材と3拍子そろったエアバス傘下となったことで反転攻勢に出る。

A220は100席以下のMRJとは直接競合しないが、三菱航空機が気がかりなのは、強力なRJを持ち全面対決しているエンブラエル(ブラジル)の動きだろう。

「ボーイングの長い歴史の中でも重要な出来事だ」。米ボーイングのデニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)は16日、会場内で開いた記者会見でこう強調した。 「出来事」とは7月、エンブラエルと小型機事業の買収で合意したことだ。「補完的な提携で、顧客により大きな価値と多くの選択肢を提供できる」(同CEO)という。

だが、三菱航空機にとってボーイングとはMRJ事業で協業する間柄。パートナーがライバルのエンブラエルの事業を傘下に収めることで思わぬ変数が入り込み競争環境は混沌としてきた。

もっとも、旅客機市場は格安航空会社(LCC)の台頭やアジアの旅客需要の急拡大を背景に伸びしろは大きい。日本航空機開発協会がまとめた2018年から37年までの航空機の需要予測によると、運航機数は37年に17年比1.8倍の3万9867機に拡大する見込み。そのうち、最も伸び率が高いのは通路が1つしかない小型の単通路機だ。

旅客機の買い手である航空会社は今後、LCCが勢いを増しそうだ。LCCはより遠くの地点へ、より多くの旅客を運ぶ傾向を強めている。

小型機中心だったLCCは大手エアラインの牙城である長距離・大量輸送への切り崩しにかかっている。小型機事業を手に入れたエアバスとボーイングは、ここに目をつけ小型機も含めフルラインアップでLCCとの関係を強化しようとしている。

強大化し市場の変化に敏感な2強を前にMRJはどう足場を築くのか。小型機を巡る戦いは新たな局面に入った。

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