2018年12月17日(月)

中国、EUに接近 首脳会議「WTO改革で一致」

2018/7/16 18:29
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【北京=高橋哲史、ブリュッセル=森本学】中国の李克強(リー・クォーチャン)首相と欧州連合(EU)のトゥスク大統領らは16日、北京で首脳会議を開いた。世界貿易機関(WTO)の改革を通じて、多国間の貿易体制を守る必要があると訴える共同声明を採択した。トランプ米政権との貿易戦争が激しさを増すなか、中国はEUへの接近を鮮明にしている。

16日、中国の李克強首相(中)と会談した欧州連合(EU)のトゥスク大統領(左)とユンケル欧州委員長(北京)=ロイター

中国とEUの首脳会議は今回で20回目。EU側からはユンケル欧州委員長も出席した。EU側の首脳は16日夕、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とも会談した。

会議後の共同記者会見で、李首相は「世界経済の勢いを保つために我々は共に多国間主義、そして自由貿易を守るメッセージを発していかなければならない」と述べ、トランプ政権が打ち出す保護主義的な動きに反対する姿勢を明確にした。

そのうえで「新しい状況に対応してWTOを含む国際的な統治システムを改善していく必要がある」と指摘した。共同声明には、WTO改革を議論する「副大臣級による作業部会」の設置を盛り込んだ。

WTO改革はEUが強く訴えてきたテーマだ。

トゥスク大統領は同じ記者会見で「我々はWTOの近代化に向けて努力しており、すべての関係国がこの目標の実現に向けて積極的に貢献するよう呼びかけている」と強調した。産業補助金、知的財産や強制的な技術移転といった分野を挙げ、新たなルールづくりが必要との認識を表明した。

首脳会議では、中国とEUの包括的な投資協定の早期締結についても話し合った。協定の実現には「まだ多くの課題が残っている」(EU高官)ものの、2013年から続く交渉の前進をアピールしたかたちだ。

共同声明は米国が離脱したイラン核合意について「完全で効果的な履行への約束を確認した」とした。温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定に関しても「履行を強化するための協力を拡大する」との文言を盛り込んだ。いずれも中国がEUの立場に配慮した側面が大きい。

中国はトランプ政権との貿易戦争が激しくなるなかで「自由貿易の維持」を旗印にEUを自陣に組み入れたいと考えている。10日には事実上の獄中死を遂げた劉暁波氏の妻である劉霞さんが出国し、ドイツに向かうのを認めた。欧州が重視する人権問題で柔軟な姿勢を示し、EUの協力を取りつける思惑が透ける。

ただEU側では「対トランプ政権」で中国と完全に足並みをそろえることには警戒感も根強い。米国が6月、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限をEUに向けて発動した際には、米国をWTOに提訴する手続きに入ると同時に、欧州企業の知的財産権を侵害したとして中国に対しても提訴の手続きに着手した。

在中国の欧州企業でつくるEU商工会議所は10日公表した報告書で、国有企業による中国国内市場の独占や、欧州企業への不当な技術移転の要求を批判。中国に市場開放に向けたさらなる改革を要請した。

中国側も欧州側のこうした空気には気づいており、対トランプ政権での共闘をEUに露骨に求めるのは避けている。李首相は16日の記者会見で「中米の貿易摩擦は両国間の問題であり、最終的には両国間で解決しなければならない。中国とEUの会談は第三国に向けたものではない」と強調した。

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