透析患者3万5千人以下に 厚労省、腎臓病で新計画
自覚症状に乏しい慢性腎臓病を予防し、人工透析を受ける患者を減らすため、厚生労働省はかかりつけ医と専門医が連携し、患者を早期発見する体制を整備する計画をまとめた。10年以内に新規透析患者を現状の年3万9千人から3万5千人以下に減らす数値目標も初めて盛り込んだ。
透析にかかる医療費は、推計年1兆6千億円に上るとされ、総医療費の約4%を占める。対策の推進は、患者の生活の質を向上させると同時に医療費削減にもつながる。
厚労省は、日本腎臓学会が作成した、尿タンパクと腎機能の検査データから重症度を分類する基準の活用を推進。これを使って、かかりつけ医が早期に慢性腎臓病の患者を発見し、専門医を紹介して適切な治療が受けられる体制を作る。
人工透析は、慢性腎臓病が悪化した患者の血液から老廃物を除去する治療。1回4時間ほど、週2~3回の通院が必要で、旅行や出張もままならないなど体への負担が大きい。
慢性腎臓病は4割が糖尿病から発症し、患者数は推計1300万人とされる。自覚症状に乏しく、発覚時には人工透析が必要になるなど進行していることが多い。高齢化で今後も増加すると予想されるが、腎臓移植以外に根治療法はなく、早期発見で重症化を防ぐことが課題となっている。〔共同〕