/

小さな国の大きな夢 クロアチア、誇り高きW杯2位

フランスに敗れ、座り込むブロゾビッチ(右)らクロアチアの選手=三村幸作撮影

「試合の入りはすごくうまくプレーできていた」とクロアチアのダリッチ監督。3試合連続の延長を戦った準決勝から、フランスより1日休みが少ない中3日とは思えない出足。飛ばし過ぎを心配するほどだった。

18分にFKからオウンゴールで失点したが、これは相手のグリーズマンのキックを褒めるしかない。チームの愛称「バトレニ(炎)」のごとく、この程度でしゅんとなるチームでもない。

28分に同点に持ち込んだ。モドリッチがFKを意表を突いて大外まで振り、ブルサリコ、マンジュキッチ、ビダと飛び石のようにつないで中央に戻し、好調ペリシッチが左足で仕留めた。

さあ、ここからという矢先、降って湧いたのがビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によるハンドとPKの判定だった。

主審は当初、ボールがペリシッチの手に当たったのをとがめる気はなさそうだった。が、フランス側のアピールとVARの助言をイヤホン越しに聞いているうちに考えを改め、モニター確認の上でPKとした。クロアチア陣営にすれば、何とも承服しがたい決定。

再びついた点差を埋めようと後半、クロアチアはさらに前へ出る。ぽっかり空いた背後をポグバとエムバペに突かれ、59分と65分に立て続けに失点。粘りが身上のチームもさすがに3点差を詰めることは無理だった。

初優勝の夢破れたダリッチ監督は「W杯の決勝であのようなPKを与えるべきなのか」と悔しさをにじませた。故意かどうかは何とも微妙なだけに愚痴の一つも出る。

それでも、人口約400万人の小国が1次リーグでは優勝経験のあるアルゼンチンも下して3連勝。決勝トーナメントでは開催国ロシア、「母国」イングランドを競り落とし準優勝に輝いた。失意の選手たちに監督は「顔を上げよう。このトーナメントでのプレーと結果に誇りを持とう」と語りかけたという。

今大会、出場32チームの選手が乗る専用バスにはファンが選んだスローガンがペイントされた。クロアチアのそれは「スモールカントリー、ビッグドリームス」。

クロアチアは希望の星だという外国の記者の質問に監督は答えた。

「バスに書かれたスローガンがすべてじゃないかな。夢と野心を持ち、それを追いかける。どんな困難に直面しても自分を信じてあきらめずに。人生もそうだよね? クロアチアはこのW杯でそれを示せたと思う」

突然の豪雨に見舞われた表彰式。メダルをもらうと、選手たちはゴール裏のサポーターの元を訪れた。どんな雨も俺たちの炎は消せない。そんなエールを交換するかのようだった。

(モスクワ=武智幸徳)

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン