2019年1月22日(火)

京の夜観光 華やぐ 訪日客の選択肢広げる

2018/7/17 6:00
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年間5000万人以上の観光客が訪れる京都市で、夜の観光が注目を集めている。朝から昼の時間帯に集中していた観光客を夜にも分散。市内の混雑緩和に加え、滞在日数を伸ばして消費額を増やす狙いがある。11月に新装開場する南座は夕方以降の時間帯の公演の導入を計画中だ。

花見小路通を南下すると、祇園の中心部、祇園甲部歌舞練場に隣接して「弥栄会館」がある。この会館内にあるのが「ギオンコーナー」だ。約50分で京舞や雅楽、狂言、文楽、茶道、華道、箏(こと)の7つの伝統芸能が楽しめる。

「日本の伝統芸能のハイライトを凝縮した初級編。言葉が分からなくても目と耳で楽しめる要素だけを詰め込んでいる」(公益財団法人の京都伝統伎芸振興財団)ことが人気を呼ぶ。

公演時間は午後6時と7時の1日2回。「春秋の繁忙期には1日400人が来場し満席になる。平均して7割が外国人客」(同財団)という。震災前は年間5万人前後だった来場者数は、2017年度には8万人強と過去最高を記録。公演中の写真撮影を許可しているため、その場でSNSなどにあげた写真から口コミでさらに人気が高まる。

京都は元来、朝も夜も早い街だ。「夜は雰囲気があって美しいが、店も寺社も閉まるのが早い」ため、日帰り客も多かった。しかも、ここ数年はインバウンド人気で昼の混雑が激化し、観光客の満足度が低下。公共交通機関に遅れが出るなど市民の生活にも影響が広がり始めた。

京都市が着目したのが夜観光。6月、ぐるなびと連携し、季節ごとの楽しみ方を紹介するサイトを開設。まずは夏の川床や嵐山のウ飼いなどをPRしている。

三条通では、セリフがなく、身ぶり手ぶりやダンス、マジックなどで楽しませる舞台がインバウンドに好評だ。築90年の洋風建築の専用劇場でロングランを続ける「ギア―GEAR―」は午後7時からの公演もある。言葉や年代を問わず楽しめるため、日によっては100席程度の客席の半分近くを外国人客が占める。

耐震・改装工事を経て、今年11月に新開場する南座も、OSK日本歌劇団の公演(19年7月)などで開演時間を夕方以降に設定することを検討している。祇園四条のランドマークである南座が試験的とはいえナイトプログラムに動き出したのは象徴的だ。

飲食関係も呼応する。鴨川沿いの9階建ての雑居ビルの屋上には、食後の一杯を求めて観光客が集まる。ルーフトップバーの「in the Moon.」だ。川面の様子や花街の明かりを眺めながらワインやカクテル、ウイスキーなどを楽しめる。

「週末は100人ほどが来店し、2~3割は外国人客」(店長の水田貴志さん)。米ボストンから来たナーディア・ハイさんは上機嫌だ。「同志社大学での学会に参加しながら、市内をぶらぶら楽しんでいる。いい景色を眺めながらお酒を楽しめるのがいい」

八坂神社前には老舗のディスコ「マハラジャ祇園」が昨年9月に復活。京都の夜に彩りを添えている。

■伝統守りつつ 攻める 南座支配人の藤田孝氏

南座の藤田孝支配人

南座の藤田孝支配人

京都の夜観光は、まだこれから。南座もチャレンジャーだ。

インバウンド対応の基本は、(吉例顔見世興行のような)伝統的な公演はちゃんと見ていただきたいというもの。見たいものがあれば昼でも来るはずだ。そのためには外国語のイヤホンガイドは必須。館内のサイネージ機能もうまく使いながら、満足度を高める。

とはいえ、伝統や文化を守りつつ、攻めるところは攻めるというのが京都だ。歴史を振り返れば、南座がその最たるものでないといけないと考えている。地域の理解も得ながら、夜のエンターテインメントを少しずつ進めていきたい。

■バー、京都まだ足りず in the Moon.の水田貴志店長

in the Moon.の水田貴志店長

in the Moon.の水田貴志店長

4月半ばから9月半ばまで、夏季限定で屋上をバーとして開放している。予約は受け付けず、雨の日は休業だ。開業から2年がたったが口コミで利用客が増加し、週末は40席程度の店内が満席になることも。海外の情報サイトに掲載され、今年から一気に外国人客の認知が進んだ印象がある。特に欧米からの観光客が多いようだ。

午後9~10時ごろ、夕食を終えてもう一杯飲みたいときにふらりと行けるバーの需要は高まっている。だが京都にはまだバーが足りない。市の高さ規制で今後この高さの建物は建てることができないため、独自性があると考えている。

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