2018年10月17日(水)

京都府、企業連携へ種まき インフラ整備着々

2018/7/17 6:01
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京都経済が好調だ。主力の電子部品は車載向けなどが伸び、観光分野も消費額が過去最高を更新する。伝統産業から最先端分野まで広い裾野を持つ強みを生かし、次の成長に向け府全域でのイノベーション創出に取り組む。

大阪府、奈良県に接する京都府南部の関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)。今年4月、理化学研究所が「iPS細胞創薬基盤開発連携拠点」を開設した。

京都大学iPS細胞研究所からチームリーダーを迎え、企業とも連携して創薬や再生医療分野の医療機器開発を進める。新拠点を核として、大阪や京都などの製薬企業や医薬ベンチャーの誘致を進める狙いもある。

学研都市では企業集積が進む。サントリーホールディングスが2015年に研究所を開設。日本電産は生産技術研究所を18年に稼働させた。企業連携による技術革新に期待がかかる。

府北部では今年4月、府と綾部市、グンゼなどが連携して北部産業創造センターを開設した。分析装置や試験装置など約100種類の機器のほか、設計や試作を事前にシミュレーションするためのシステムなどを、中小企業が自由に活用する。「勉強会の参加者同士の横の連携でオープンイノベーションにつなげたい」(京都府中小企業技術センター)

京都市内には来春、「京都経済センター(仮称)」が開業する。府はTV会議システムを整備。京丹後市や綾部市、精華町の各拠点を結び、地域の区別なく中小企業が技術指導や研修を受けられるようにする。京都商工会議所など主要な経済団体が一貫した支援を行えることも強みだ。

インフラ整備の進捗に伴い、府中心部にあたる京都市などに産業が集中する状況も是正されつつある。

府を南北に貫く京都縦貫自動車道は15年に全線開通。23年度には新名神高速道路も全線開通する見通しだ。3月には舞鶴国際ふ頭も機能強化が完了し、貨物の受け入れ能力が拡大。流通が改善し、南北の産業振興に弾みがつく。

観光分野でも布石を打つ。6月、府は観光戦略総合推進本部を新設。「食」を切り口に観光情報を発信し、京都市域の観光客を府域に周遊させる狙いだ。

京都市では17年、観光消費額が1兆1268億円で過去最高額を更新した。宿泊施設が整備され観光客の滞在日数が伸び、宿泊費用や食事代などが増えている。府域でも受け入れ態勢を整備し誘客を狙う。

■中小の厚み生かす 京都府知事 西脇隆俊氏に聞く

京都府で16年ぶりに新しい知事が誕生した。4月に就任した西脇隆俊知事は復興庁事務次官まで務めた国土交通省出身のキャリア官僚だが、高校時代まで京都市内で育った。産業政策を中心に今後の針路を聞いた。

西脇隆俊 京都府知事

西脇隆俊 京都府知事

――初の予算編成となった6月補正で産業政策を柱の一つに据えました。

「選挙公約として『安心 いきいき 京都力』を掲げた。その中の『いきいき』を具現化するため、京都産業の活力向上のための施策を盛り込んだ。ひとつは中小企業の裾野拡大と成長支援、2つ目は担い手の確保・育成、3つ目は京都観光の次なる展開と京都ブランドの海外進出強化だ」

――中小企業の振興策にどう取り組みますか。

「中小企業がしっかりしていないと地域産業の足腰が弱くなる。京都では、長い歴史を持つ伝統産業がある一方、最先端技術を持った企業もいて、多彩で幅広い。その強みは伸ばしていきたい」

「ただし、いくら京都の中小企業が優れているとはいえ、人材育成、販路開拓、事業承継、生産性向上の4つは全国共通の課題として取り組まなければいけない。特に、人材確保と事業承継は急がないと手遅れになる」

――中小企業に人材をどう呼び込みますか。

「すごい技術を持っているのに学生らに知られていない中小企業がたくさんある。マッチング事業によって、そうした企業をよりよく知ってもらえるようになれば、チャレンジしようという人材も出てくるのではないか。ただし、人を呼び込むためには、企業側もこれまで通りではいけない。企業同士で連携し、省力化などの共通課題に取り組むことなどが必要だ」

――来春には京都経済センターが開業します。

「経済センターには京都商工会議所をはじめ、中小企業を応援する各種団体が集まる。単なるハコモノ整備ではなく、(中小企業支援の)受け皿になるように府も協力していく」

――京都観光の今後の展開をどう考えますか。

「京都市の一部に集中している観光客に、府全域を広く周遊してもらうようにしたい。府では『もうひとつの京都』と銘打って、北部の海や南部の茶生産地などをPRするブランド戦略を展開し、認知度も上がってきた。これを一歩進めるには、インバウンド向けにモデルルートなども設定しなければいけない。単なる混雑緩和のためだけでなく、京都全体の魅力アップにつなげたい」

「京都が元気だといわれる大本には観光があると考えている。飲食、宿泊など直接的な経済効果だけでなく、京都の魅力が企業立地などにも好影響を与えている。これを私は『京都力』と表現した。実際、京都で働きたいという外国人も多い」

――子育て環境日本一の実現を掲げています。

「子育てに適した環境は誰にとっても良い環境だ。人材の定着という意味でも大きい。大手企業も働き手を確保するためには、それにふさわしい環境を整える必要があると考えるようになっている。ぜひ民間企業にも協力してほしい」

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