2018年11月18日(日)

GMがとらえた「規模の先」、狙うは次代の司令塔

コラム(ビジネス)
自動運転
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2018/7/21 6:30
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電動化や情報化の新技術が相次ぎ登場し、自動車産業は「100年に一度」とされる変革期に突入した。経営破綻から9年、販売世界一から陥落した米ゼネラル・モーターズ(GM)は剛腕の女性経営者がビジネスの「創造と破壊」にかじを切る。外部の知を取り入れ、従来型の自動車メーカー像から脱皮しようと懸命だ。

2019年に投入する完全自動運転の電気自動車(EV)「クルーズAV」の運転席にはハンドルやアクセル、ブレーキペダルはおろか、手動操作用スイッチもない。EV化で排出ガスを、完全自動運転で衝突事故をなくす。ライドシェアは各国で深刻化する交通渋滞の処方箋になる。GMが目指すのはそんな未来の司令塔の座だ。

国有化を経て14年1月に就任したメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)が見据えるのは、業界の常識だった「規模の経営」の先。「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」と呼ばれる次世代4分野の陣取り合戦は世界で過熱しており、GMもフルスロットルでアクセルを踏み込む。

■自前主義捨て、外部の知導入

16年1月には他メーカーに先駆け、ライドシェア大手の米リフトに5億ドルを出資。同年には米クルーズを買収し、シェアリングサービスや自動運転で先行するスタートアップと一気に手を組む。次世代環境技術では13年にホンダと燃料電池車(FCV)で提携。今年6月にはEV向け電池の開発へ関係を深めた。

自前へのこだわりは捨てた。クルーズAVの要の技術を担うのは買収したクルーズ。同社の従業員は買収時の20人程度から800人程度まで増加している。EVやFCVは23年までに20車種を発売する。既存の市場で身を縮める一方、自動運転と電動化など将来技術に経営資源を集中させる。

「ハードとソフトを一体的に開発できる垂直統合型のビジネスが最大の強みだ」。5月31日、世界最大のテクノロジーファンドとして知られるようになったソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の投資担当者、マイケル・ローネン氏は電話会見で切り出した。

ローネン氏は、米ゴールドマン・サックスで通信業界の大型合併・買収案件を多数手掛けた経歴を持つ。同氏が「同業案件を数カ月かけて精査した」結果、総額22億5000万ドルの賭け金を積んだ投資先がGM傘下に入ったクルーズだった。

16年にGMが約10億ドルで買収したクルーズの企業価値は、同ファンドの出資で115億ドルに上昇。競合ひしめく同分野で業界随一のバンカーにお墨付きをもらったGM。株価はこの日だけで10%以上値上がりした。

資本市場が好感するのはプライドを捨ててでも新たな価値観に挑もうとする前のめりの姿勢。スマートフォン市場を席巻した米アップルのような手法で自動運転車を開発するGMを、SVFは高く評価した。

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