育児世代の働く女性75%、過去最高 17年就業構造調査
非正規女性3割が就業調整
総務省が13日発表した2017年の就業構造基本調査によると、25~39歳の女性のうち働く人の割合が75.7%と過去最高を更新した。人手不足に拍車がかかるなか、企業が短時間勤務など多様な働き方を認めて、育児世代の女性を採用している。ただ非正規で働く女性の3割超は、税優遇の縮小などを意識して働く時間を調整している実態も浮き彫りになった。
調査は5年ごとに実施。全国約52万世帯の15歳以上の約108万人を対象に昨年10月1日現在の就業形態などを調べ、全体の状況を推計した。

人材難に苦しむ企業は女性の獲得に力を入れている。15~64歳の女性の有業率(仕事をしている人の割合)は68.5%だった。12年の前回調査を5.4ポイント上回り、最高となった。このうち働き盛りにあたる25~39歳は12年から5.9ポイント高まった。
この世代の女性は子育てなどを機に仕事を離れることが多い。前後の世代に比べて有業率が低くなる傾向があった。日本の女性の有業率はグラフにするとアルファベットの「M」の形に近く、「M字カーブ」といわれる。17年調査では育児中の女性の有業率は全ての世代で上昇。総務省は「M字カーブは解消に向かっている」と分析する。
高齢者の就労も広がる。60~64歳の男性の有業率は12年から7.2ポイント高まり79.9%だった。15~64歳全体の83.3%との差がほとんどなくなり、60歳代前半まで働くことが一般的になってきたといえる。65~69歳の有業率も5年前から7.3ポイント上がっており、60歳代の就労拡大が目立った。
パート労働者ら非正規社員のうち、勤務時間を短くするなど就業調整をしている人は26.2%に上った。男性は14.2%、女性は31.7%だった。就業調整する非正規社員を年収別にみると、50万~99万円の人が49.6%、100万~149万円の人が32.9%を占めた。

パートで働く配偶者がいる世帯の税金を減らす配偶者特別控除は17年時点では、配偶者の年収が103万円超になると段階的に小さくなっていく仕組みだった。「103万円の壁」を意識した就業調整が広がっている実態が浮き彫りになった。
この特別控除は18年から基準の年収が150万円に拡大された。ただ企業が配偶者手当の支給基準を103万円以下にしているところも多い。厚生年金や健康保険などの社会保険を巡っても、従業員が501人以上の企業の場合、年収106万円以上になった従業員は保険料を支払うよう義務付けられている。配偶者の就労を一段と促すには、こうした制度の見直しも議論になりそうだ。
15歳以上の有業者数は6621万3000人で、男性が3707万4100人、女性が2913万8900人だった。それぞれ12年から0.9%、5.3%増えた。
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