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クロアチア、イングランドの「若さ」に救われる

至言直言 清水秀彦

またも延長戦を制したクロアチアだが、準決勝の戦いぶりは褒められる内容ではなかった。1週間で120分の戦いを2度やった後で、体はふらふら。しかもラキティッチの調子がまたも上がらず、モドリッチにボールが収まらないとプレーは停滞した。

開始早々に失点し、前がかりにならざるを得なくなったことで、前半は相手の思うつぼに。本来ボールを保持するはずが前に出ることでスペースが生まれ、イングランドに何度もカウンターを許した。逆にクロアチアはサイド攻撃にしか手がなく、苦しむ時間が続いた。

後半に入り、左サイドのペリシッチが右に移り、左に戻るなど工夫すると、モドリッチにボールが集まる時間も増え、徐々にリズムを取り戻した。とはいえ同点のゴールは相手の「若さ」に助けられたようなもの。

ペナルティーエリア内には低いクロスばかり入っていたのでイングランドは落ち着いてはね返していたが、あの時間だけ高い球が来たためエアポケットが生じたのだろう。動きが止まったのを見逃さず、背後からペリシッチが一瞬の隙を突いた形だった。

終盤はイングランドの若さゆえのワンパターンな戦術にも慣れてきたのか、リンガードやアリが前に出て大きくなったサイドのスペースで、ペリシッチがボールの受け取り役になり、モドリッチの動ける範囲も広がった。2点目はマンジュキッチへのマークがぼやけたという相手のミスに乗じたものだが、時間をかけて主導権を取り戻した先に得た決勝点だった。

イングランドはプレー自体は相手をつぶし、速攻をしかけるという、フィジカルを生かした現代サッカー。惜しむらくは経験が足りず、ボールの供給役、チームの司令塔がいなかったことか。目指しているサッカーは間違っていないだけに「もしモドリッチがこのチームにいたら……」と試合を見ながら何度も考えてしまった。

初の決勝進出を決めたクロアチアだが、ラキティッチら中盤の選手がコンディションを取り戻さないとフランスと真っ向勝負するのは厳しいだろう。向こうにはカンテという最高の"つぶし役"がいるし、グリーズマンという個人で打開できる選手もいる。モドリッチがいくら奮闘しようと、一つの「個」の戦いではしんどい。

何よりもフランスには圧倒的なスピードがある。準決勝でもスターリングにぐいぐい押し込まれ、「スピードは必要」と暗示されたはず。ここまでにほぼ全てのエネルギーを使い切り、達成感でいっぱいだろうが、最終戦でどこまで残る力を振り絞れるだろうか。(元仙台監督)

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