栗本薫さん未発表作発見 中島梓名義の私小説

2018/7/11 18:43
保存
共有
印刷
その他

2009年に56歳で亡くなった作家の栗本薫さんが江戸川乱歩賞を受賞する直前の1970年代後半、中島梓の筆名で執筆しながら未発表となっていた小説の原稿が見つかった。小学館が11日、明らかにした。13日に同社が配信する「栗本薫・中島梓 傑作電子全集」第9巻に収録される。

栗本薫さん

壮大な大河ファンタジー「グイン・サーガ」で知られる栗本さんには珍しい、純文学志向の内省的な私小説で、重度の障害があった弟を巡る苦悩、駆け出しの頃の焦燥感や葛藤がうかがえる。

小学館によると、「ラザロの旅」と題された原稿は中島名義で評論活動を始めたばかりの78年4~5月に執筆された。文芸評論家である25歳の「私」が物書きの道に進んだ自分自身の選択を見つめ、「書かなくては生きていけないようになっていた」と独白する。

出版社に持ち込んだが不採用になったとみられ、手書きの原稿が自宅で保管されていた。その後、栗本名義で投稿したミステリー「ぼくらの時代」で乱歩賞を受賞、エンターテインメント作家としての才能を開花させた。

栗本さんは79年に文芸誌に中島名義で「弥勒」を発表。これが唯一の私小説とみられていた。栗本さんの夫の今岡清さんは「なぜ書くことに妄執とさえ言えるほどの執念を持っていたかを理解する上で、欠かせない重要な作品だ」とコメント。栗本さんの遺稿はファンの協力も得て整理が進められ、大半が東京の葛飾区立図書館に寄贈された。〔共同〕

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]