2018年12月13日(木)

地下水「見える化」、洪水など災害を予測

2018/7/12 12:28
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東京大学発スタートアップの地圏環境テクノロジー(東京・千代田)は河川だけでなく地下水も含めた水の動きを可視化する地図データを無償公開した。日本各地の地下水の流量をシミュレーションすることで洪水や土砂崩れの予知精度を高められる。より高精細な地図の調査・製作を求める自治体や建設会社、不動産会社には有料サービスを提供する。

地質構造をもとに地下水の動きを予測して、洪水や土砂崩れの危険性を把握する

地質構造をもとに地下水の動きを予測して、洪水や土砂崩れの危険性を把握する

地圏環境のホームページで無償版の「国土情報プラットフォーム」を公開した。降水量や気温、標高、地質、土地利用状況といった国土地理院や気象庁、産業総合研究所などが公開している幅広い地図情報をもとに地表や地下の水の流れをシミュレーションする仕組みだ。特定エリアに大雨が降った場合に広範な地域への影響を視覚的に把握できる。

地下の岩盤内部の水分量や水圧の情報をまとめることで堤防決壊や土砂崩れなどの予兆を精度高く把握できるのが特長だ。現時点の災害対策では河川の水位を常時監視しているものの、地下水の流れを踏まえた例は少ない。自治体が同サービスを活用して洪水の危険性を再検証すれば、より高精度なハザードマップを作成できるという。

同社創業者で相談役の西岡哲氏は7月上旬に発生した西日本広域での豪雨災害について「地下水の流れを把握して土砂災害のリスクを検証していれば被害は軽減できたかもしれない」と話す。同サービスを無償公開して官庁や自治体など行政担当者が実際に使ってもらい防災計画の精度を高める狙いもある。

地表と地下の水の流れ方は大きく異なる

地表と地下の水の流れ方は大きく異なる

無償版では日本全国を500メートル四方のマス目に分割して水分量を表示する。最小単位で数十万円からという有料サービスでは10メートル四方の詳細な地図情報を取得できる。

地圏環境は自治体のほか、土地開発のゼネコンや不動産会社の活用を見込む。安定的に水を確保したい製造業なども販売先に想定。既に飲料メーカーが取水地域の地下水の動向を分析して環境負荷の調査に役立てている。目には見えない地下水の状況をシミュレーションし穀物の生育を管理するといった農業分野への応用も検討する。

地圏環境は2000年設立で、東大名誉教授の登坂博行氏が社長を務めている。直近の売上高は約3億円。無償公開した「国土情報プラットフォーム」を応用した事業で、今後5年間で20億円の事業に育てるとしている。

(企業報道部 細川幸太郎)

[日経産業新聞7月12日付]

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