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辛抱強さ途切れず フランス、CKの1点で競り勝つ

2018/7/11 7:04
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前半、シュートを放つフランスのグリーズマン(中)=三村幸作撮影

前半、シュートを放つフランスのグリーズマン(中)=三村幸作撮影

 0―0のままスコアが動かずとも、目の前で展開される一コマ一コマに得点の予兆が宿っていた。静かなのに火花の散る時間が過ぎていく。

 ベルギーがボールを回しながら攻め、フランスが受ける。序盤はそんな構図になったが、それはどちらが優勢であることを示すものでもなかった。ベルギーにE・アザールの突破とデブルイネの必殺パスがあれば、フランスも奪い返しからの息もつかせぬカウンターを突きつける。互いに刃(やいば)を交わしつつ均衡するかのよう。

 それでも少しずつフランスがベルギーの攻め口に慣れていった。ミクロの局面で選手が相手に対応し、駆け引きを制していくようだった。ベルギーの右サイドに入ったシャドリが攻勢を強めようとすれば、相対するマチュイディがその意図を察してやや下がり、SBのエルナンデスと2人でその勢いを消す。トップ下でうろつくフェライニにはポグバが監視の目を怠らず、ほぼマンマーク。この「巨人対怪物」たるマッチアップは大いに見応えがあった。

 ベルギーに手詰まり感がでてきた51分、均衡は破られた。右CKにDFウンティティがニアでフェライニにわずかに先んじ頭を突き出す。狭いニアのコースの、さらに絞られたわずかな隙間をボールは抜けた。「(ヘディングで)大事なのは相手の前に出ようとする決意さ。いいボールだったから簡単だった」とはウンティティ。

 相手の出方にピッチ内で応じていくフランスの対応力は見事だった。ベルギーが焦って前に出るほど、奪ってからの速い攻めと一本のパスからの逆襲のすごみも増した。いつもは前へ出たがるポグバが、かいがいしく最終ラインまで下がって守る。一人ひとりが持ち場の責任を果たし、綻びの穴を生じさせなかった。

 E・アザールの突進に最後まで冷や汗をかきはしながらも、決勝進出を告げるホイッスルが鳴り響いたとき、グリーズマンがピッチにうち伏せて泣きじゃくった。4年前のW杯準々決勝、ドイツにセットプレーから1点を奪われ、そのまま盛り返せずに終わって涙したのがグリーズマン。

 あのときフランスの前に立ちはだかった相手の強い勝ち方を、逆に自分たちが示して見せた。CKからの1点でしのぎきる勝ちぶりには単なる守りの堅さだけでなく、何かと才能が先立ちがちだったこのチームの成長をうかがわせる。

 「今日はすべてが素晴らしかった。そのうえで選手の進歩はめざましく、すごい速さで成長している」とデシャン監督もうなずく。「しかしより大事なのは日曜日(の決勝)。(決勝で屈した2016年欧州選手権のように)もはや謙虚な敗者にはなりたくない。フランスサッカー史の新たなページ、それもより美しいページを開きたい」。あと1勝の辛抱で、フランスに20年ぶりに栄冠が帰ってくる。

(サンクトペテルブルク=岸名章友)

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