2018年7月22日(日)

MRJ、20年納入へスパート 認証取得の飛行実験、債務証券化で債務超過解消

自動車・機械
2018/7/11 0:00
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 国産ジェット旅客機「MRJ」を開発中の三菱航空機(愛知県豊山町)の水谷久和社長は10日、日本経済新聞などの取材に応じ、商用運航に向けた型式証明の取得に必要な飛行試験を月内にも始める見通しを明らかにした。2019年3月期中に債務の株式化と増資を組み合わせた資本増強も検討する。20年半ばの納期に向け、MRJは「離陸」の準備に入った。

 水谷社長は型式証明の取得に向けた飛行試験を「7~9月中に始めたい」と述べ、開発が順調に進んでいることをアピールした。審査を担う国土交通省とは調整しており「20年半ばの納入に向けて少しでも早く進めたい」と述べた。延期の理由となった電気配線などの設計変更を反映した試験機が年内に完成し、20年3月期中の型式証明の取得に意欲を示した。

 型式証明の取得に向けた飛行試験に入る見通しがたち、開発面での峠は越えそう。今後、焦点となるのは、三菱航空機の財務体質の改善だ。

 三菱航空機の18年3月期末の債務超過額が1100億円となり、前の期に比べて2倍以上に増えた。MRJの開発遅れが響き、18年3月期の最終損益は589億円の赤字(前の期は511億円の赤字)となった。

 関係者によると、三菱重工と三菱航空機は資本増強の手法として、債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ、DES)と増資の組み合わせを軸に検討する。三菱航空機の資本金は1千億円(資本準備金含む)。三菱重工が6割強出資しているほか、トヨタ自動車三菱商事なども株主になっている。既存株主との協議も今後、本格化し、19年3月期中の債務超過解消を目指す。

 DESは経営不振に陥った企業への貸出債権を株式に交換し、銀行に保有させる不良債権処理の手法。過剰債務に苦しむ企業の負債を圧縮すると同時に、株主資本を増やす効果がある。

 債権放棄と異なり、株式などを受け取る金融機関も企業の再建が進めば値上がり益や配当が期待できる。ただ、増資によって株式数が増えれば、1株あたり利益など既存株主の持ち分が損なわれる可能性がある。債務の株式化や増資の規模について今後精査する。

 MRJの納期が当初計画から7年遅れるなか、航空機市場の環境は激変した。顧客サポート契約を結ぶ米ボーイングは、ブラジルのエンブラエルの小型旅客機事業を買収する予定。MRJと競合関係が強まるが、水谷社長は「ボーイングからこれまでの関係は維持するという報告がある。信用したい」と話した。

 今後、三菱航空機は三菱重工の民間航空機向けの部品事業などと連携を一段と強める方針。「技術面で相当のシナジー(相乗効果)があるだろう」とする一方、「現時点で具体的な計画は何もない」とした。

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