2018年9月26日(水)

原油市場かき回すトランプ氏

中東・アフリカ
北米
The Economist
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2018/7/11 2:00
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The Economist

 以前は米国のシェールオイル企業が、世界の原油市場の価格を動かす新たなスイングファクター(変動要因)だといわれていた。だが、いまやトランプ米大統領がその役割を奪いつつあるようだ。

トランプ米大統領は米国のガソリン価格引き下げに躍起だが、米シェールの生産急拡大は難しい(写真は米テキサス州の油田に立つ掘削機=Odessa American・AP)

トランプ米大統領は米国のガソリン価格引き下げに躍起だが、米シェールの生産急拡大は難しい(写真は米テキサス州の油田に立つ掘削機=Odessa American・AP)

 原油価格が3年半ぶりの高値を付けている今、トランプ大統領はそれぞれ逆の効果をもたらす3つの圧力をかけており、おかげで市場は翻弄されている。1つ目は地政学的なもので、特にイランに対する制裁だ。2つ目は米国内における政治的な思惑からくるもので、トランプ氏は11月の中間選挙前に国内のガソリン価格を下げたいと考えている。そして最後が、拡大しつつある中国との貿易戦争だ。

 もし、自分の思い通り原油価格が下がらなければ、トランプ氏は米国の戦略原油備蓄(SPR)からの放出という危険な武器を繰り出す可能性がある。石油輸出国機構(OPEC)は動きが予測しにくいことで知られるが、トランプ氏のこうした一貫性のない施策によって、彼が今、最も怒りの矛先を向けているOPECが予測が可能なお手本のようにみえてくるかもしれない。

 まず、地政学的な問題から考えてみよう。サウジアラビアが主導するOPECとロシアが6月下旬に、最大で日量100万バレルの増産で合意したにもかかわらず、国際的な原油価格の指標である北海ブレント原油先物は、1バレル77ドル(約8500円)を超えている。

 直接的な原因としては、7月3日の週に混乱の続くリビアとベネズエラの複数箇所で原油の生産が止まったことがある。だが、原油価格の高騰を加速させているのは、トランプ政権が同盟諸国に対し、11月4日までにイラン産原油の輸入を完全に停止しなければ、米国による対イラン制裁に背いたとして処罰的措置を科すと脅しをかけているためだ。これは各国が想定していた以上に厳しい要求だった。

 米国務省の高官であるブライアン・フック氏は7月2日、エネルギー関連企業を含めて50以上の国際的な企業がイランからの撤退に同意したと述べた。米国は、トルコやフランスなど一部の国に対しては、イラン産原油について完全な禁輸は求めず輸入削減を認めるかもしれないが、免除は一切与えないという。米コンサルティング会社のクリアビュー・エナジー・パートナーズによると、各国がイランからの原油輸入をゼロにすれば、日量80万~105万バレル程度のイラン産原油が市場から消える可能性がある。輸送にかかる日数を考えると、制裁が発動される60日前、つまり9月から原油の需給は厳しくなると予想されるという。

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