被災者支援へまず予備費拠出 西日本豪雨で首相が表明

2018/7/10 12:00
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西日本を襲った記録的豪雨による死者は10日までに134人となった。安倍晋三首相は同日、首相官邸で非常災害対策本部会合を開き、被災者の生活支援を急ぐため、まずは2018年度予算の予備費を拠出する方針を表明した。企業も影響を受けた事業の復旧に努めるとともに、被災地に救援物資を送っており、官民挙げて災害対応にあたっている。

非常災害対策本部の会合で発言する安倍首相(10日午前、首相官邸)

非常災害対策本部の会合で発言する安倍首相(10日午前、首相官邸)

首相は非常災害対策本部会合で「予備費を充て被災者への緊急支援を迅速に進めていく」と語った。被災地からの要請を待たずに国が判断して輸送などをする「プッシュ型支援」を指示。被災地の通行止めを解消し物資が円滑に届くよう、コンビニエンスストアなどへの輸送車両を緊急車両扱いにする意向も示した。

菅義偉官房長官は10日の閣議後の記者会見で、死者が134人、行方不明者が10人、安否を確認できていない人が78人にのぼると明らかにした。災害対応に拠出する予備費は20億円との見通しを示した。麻生太郎財務相はまずは18年度の災害対応予算と予備費をあてたうえで「不足ということになった場合には補正などを考える」と述べ、18年度補正予算案の編成も検討する考えを示した。

斎藤健農相は農林水産関係の被害額が10日朝時点で72億円だと述べた。全容が明らかになっていないため、被害額はさらに増える見通しだ。

政府はこの後、関係省庁の事務次官級で構成する「被災者生活支援チーム」の初会合を官邸で開いた。首相も出席し、避難所の環境整備や物資供給、仮設住宅の確保などを議論した。

首相は同会議で、11日の岡山県訪問を皮切りに被災地を順次視察する意向を示した。これに先立つ愛媛県選出の自民党所属国会議員との面会では「近いうちに広島、岡山も含めて愛媛に入る」と伝えた。党同県連の山本順三会長が記者団に明らかにした。

経済産業省は電力インフラの被害が大きいことを踏まえ、電気事業連合会に支援を要請した。これまでに関西電力九州電力中部電力北陸電力が支援を決定。高圧電源車や社員を派遣する。

企業も支援に取り組んでいる。イオンは6日以降、岡山県倉敷市に毛布や粉ミルク、福岡県直方市に飲料水や茶飲料などを供給した。大和ハウス工業は10日、倉敷市などに飲料水1万5000本、簡易トイレ1000個、タオル1200枚などを配布。グンゼも紳士用や婦人、子供用肌着9620枚を倉敷市の避難所に届けた。

アサヒグループホールディングスは傘下のアサヒ飲料の茶飲料2400本を11日以降に倉敷市に送る。セブン&アイ・ホールディングスはおにぎり計6600個、パン計1万6千個、ローソンはおにぎり約1万7千個、カップ麺5千個、ファミリーマートではペットボトル水5100本を被災地に提供した。

東京海上日動火災保険など損害保険大手各社はドローン(小型無人機)による損害査定を本格化させる。浸水で立ち入りが困難な地域の実態を把握し、効率的な損害調査に生かす。迅速な保険金支払いで被災者の生活再建を後押しする。

ただ、企業活動への影響はなお残る。包装用紙を生産する王子マテリアは断水が続いており、広島県呉市の工場が再稼働できないでいる。三菱自動車は水島製作所(岡山県倉敷市)を9日に再開したが、一部の従業員が出社できずに10日再び操業を停止した。

携帯電話は9日午後から10日午前にかけても、岡山県や広島県などの一部でつながりにくい状況が続いている。ヤマト運輸や佐川急便など運輸各社も広島県などの一部地域では配送不能のままだ。

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