2018年12月16日(日)

トルコ、エルドアン氏に権限集中 大統領制に完全移行
経済問題、強権統治のアキレスけん

2018/7/9 21:42 (2018/7/9 22:49更新)
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【アンカラ=佐野彰洋】トルコで9日、エルドアン大統領に国政の広範な権限を集中させる実権型大統領制が始動した。エルドアン氏が6月の大統領選での再選を受け2期目に入り、1923年の建国から続く議院内閣制は廃止された。反対勢力を弾圧し、法治を軽視する同氏は自らの威光を誇示すべく大型インフラ開発に固執するが、海外からの資金調達など経済環境は悪化。今後、強権のひずみが噴き出す恐れもある。

「トルコ共和国の栄光と誇りを守り、高め、任務を中立的立場から遂行する」。9日、国会で就任宣誓が行われた。その後、エルドアン氏は内外から数千人を招待し、記念式典も開催。国営アナトリア通信によると、カタールなど約20カ国の国家元首に加え、ロシアのメドベージェフ首相やハンガリーのオルバン首相も出席する。

エルドアン氏は2014年、首相から、本来は儀礼的な立場だった大統領に転じた。17年の国民投票で、実権型大統領制導入の憲法改正を僅差で承認に持ち込み、18年6月の前倒し選挙で勝利。自らへの権限集中の制度化に成功した。

今後は副大統領、閣僚、高官の任免や国会の解散、法的効力を持つ政令の発令など強大な権限を握る。一方、国会による政府に対するチェック機能や司法の独立性の低下は避けられない見通しだ。

大統領には2期10年の多選制限があるが、制度移行に伴い、エルドアン氏は28年までの続投が可能だ。2期目の途中で国会が解散を決めれば、3期目を目指すことも認められている。

大統領選でエルドアン氏に敗れた最大野党・共和人民党(CHP)のインジェ氏はトルコは「全面的な個人支配」に向かうと警告を発する。

建国の父アタチュルクと並び、近代トルコで最も強力な政治指導者となったエルドアン氏だが、イスラム教の信仰を重視し、国是の世俗主義を軽んじる姿勢は国家の分断を深めている。

16年のクーデター未遂事件以降は非常事態宣言を継続し、事件と無関係とみられる左派やクルド人らも対象に厳しい弾圧を加えてきた。就任宣誓前日の8日には新たに警察官や軍人ら1万8千人超を免職処分とした。

強権統治のアキレスけんは経済だ。「法の支配」への信頼の低下は資金の海外流出や、海外からの直接投資の減少を引き起こしているためだ。5月には金融引き締めを嫌うエルドアン氏が中央銀行への統制強化を示唆したことで、通貨リラの急落を招いた。経常赤字が膨らむ中で利上げが遅れ、6月のインフレ率は15%を超えた。

巨大な空港やモスク(イスラム教礼拝所)の建設などエルドアン氏は自らの威光を示す大型公共事業に強い執着を示す。建設費約150億ドル(約1兆7千億円)とされるイスタンブール運河の建設も公約済みだ。19年3月に地方選を控え、財政拡張的な政策を維持するとみられるが、エコノミストは19年にかけてマイナス成長入りする可能性を指摘している。

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