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外国人受け入れ 失敗から学べ(大機小機)

6月5日の経済財政諮問会議で、安倍晋三首相は外国人労働者の受け入れ拡大を表明した。人手不足が深刻な業種を対象に新たな在留資格を創設し、2025年までに単純労働者を含む50万人超の受け入れを目指している。人口減少が進む中、中長期的に外国人労働者の受け入れは必要だ。ただ、今回の方針は過去の失敗に十分学んでいないように思われる。

日本は1990年に、日系2世と3世およびその家族に日本での就労を認め、主に中南米諸国から30万人以上の労働者が流入した。海外からの出稼ぎを受け入れて一時的に人手不足を補填しようとしたもので、自動車産業などが積極的に外国人労働者を受け入れた。その結果、外国人労働者は愛知県や静岡県、北関東などに集中し、来日した外国人労働者の約3分の2は日本に定住した。

日本語能力による選別がなかったため、当時来日した外国人労働者は日本語が全く話せない者も多かったし、子弟への日本語教育も十分には行われなかった。こうした労働者の日本での生活が長くなり、同伴した子や日本で生まれた子が日本の小中学校に入学するようになると、多くの問題が発生した。子弟の不就学率の上昇と不良化である。

日本語能力の乏しい両親を持つ子弟は、いきなり日本語で授業を受けても理解が難しく、落ちこぼれることが多かった。中学生にもなると授業がまったく理解できず、不登校になるケースが増えた。

中学レベルの教育を受けず日本語の読み書きもできないとなれば、就職は難しい。非行に走る者も多くなった。外国人労働者の多い地域では、その子弟が犯罪に手を染め少年院に収容される例が増加した。

教訓は明らかだ。外国人労働者を使い捨てにできる「労働力」とみなすだけでは、将来に大きな禍根を残す、ということである。

現在、受け入れる外国人の基準は日本語能力試験4級(N4)程度ないしそれ以下が検討されているが、これでは片言の日常会話しかできない。「より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる」と定められているN2レベルの能力を課すとともに、外国人労働者の子弟に対して日本語の補習授業の充実を行うべきではないだろうか。

(山河)

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