遺族・被害者、複雑な胸中 松本元代表ら刑執行

2018/7/7 1:13
保存
共有
印刷
その他

「一つの区切り」「真相に迫れず残念」。オウム真理教の松本智津夫元代表らの死刑執行を受け、遺族らは複雑な心境を打ち明けた。

松本智津夫死刑囚らの刑執行を受けて記者会見する、地下鉄サリン事件の遺族の高橋シズヱさん(6日午前、東京・霞が関)

地下鉄サリン事件で夫を亡くした高橋シズヱさん(71)は6日の記者会見で「色々な人たちが色々な思いでこの日を待っていたんだと思うと、執行は一つの区切り」と話した。同日午前、法務省から電話で死刑が執行された元幹部6人の名前を知らされ、動悸(どうき)がしたという。事件から23年がたち、「主人と私の両親は亡くなった。執行のニュースを聞けず残念だったろう」と思いやった。

事件の公判を傍聴し続けたが松本元代表は口を閉ざし、多くの謎を残したまま。「彼らには色々なことを話してほしかった。それができなくなり、心残りがある」と胸中を明かした。「(事件を)何らかの形で伝えていきたい。人生を狂わされた者には繰り返されてはいけないとの思いがある」と厳しい表情で話した。

松本サリン事件で被害者だったにもかかわらず捜査対象となり、報道被害も受けた河野義行さん(68)は「あの事件の真実に迫ることができなくなって本当に残念」と吐露した。

坂本堤弁護士一家殺害事件で犠牲になった坂本弁護士(当時33)の母、さちよさんは「事件が起きてから今まで長い時間だったなと思う。堤たちには『終わったね。安らかにね』と言ってあげたい」とコメント。坂本弁護士の同僚だった小島周一弁護士は6日記者会見し「なぜ、これだけの凶悪事件にまじめな若者たちが巻き込まれたのか。死刑の執行よりも事件の核心を追究してほしかった」と悔やんだ。

教団脱会を支援し、自身も襲撃を受けた滝本太郎弁護士はブログに「(元代表の)死刑執行は、オウム事件とオウム集団にとっては一つの区切り」と投稿。ただ元幹部らの執行については「事件と麻原を振り返り、時に応じて述べていくことで、オウム集団の根絶、類似事件の防止に役だったはず」と書き込んだ。

事件当時サティアンと呼ばれた教団施設があった山梨県富士河口湖町(旧上九一色村)の富士ケ嶺地区。地区のオウム真理教対策委員会で副委員長を務めた竹内精一さん(90)は執行をテレビで知った。「なぜ殺人やテロを行う集団になったのか明らかにならなかった。じかに戦った人間として真相が分からなかったのは残念だ」

警察や行政がもっと早く動いてくれれば事件は起きなかったのでは、という思いは消えない。「(施設ができ始めてから)30年の戦いはまだ終わらない。生きている限り伝えていかなくてはならない」と力を込めた。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]