長野県内へのふるさと納税29%減 返礼見直し響く

2018/7/7 0:00
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総務省が6日発表した2017年度のふるさと納税寄付額によると、長野県と県内市町村への寄付額は134億6272万円と、前年度から29%減った。減少は7年ぶり。返礼品競争の激化を受けて家電などの返礼品をやめた伊那市が全国最大の減少額となった。一方で時計などの返礼品を続ける塩尻市などに寄付が集まるなど、制度の問題点が浮かぶ。

  ●全家電を除外

返礼品競争の激化を受けて総務省は17年4月、時計や電気機器など資産性が高い品物や、寄付額に対する返礼品の調達価格の割合(返礼率)が3割を超える返礼品の中止を要請。その後も安価な家電の取り扱いを続けた伊那市などの市町村に対し、改めて総務省が見直しを求める通知を出していた。

伊那市は67億円(94%)減の4億4934万円と大幅減。減少幅は全国の自治体で最も大きい。17年4月に10万円以上の家電製品を除外したが、再度同省から指摘を受けたため、同年6月から掃除機など全ての家電製品を外した。

その後、森林資源の活用としてまきの全国宅配、フィットネスクラブのRIZAP(東京・新宿)の健康増進プログラムなどを返礼品に加えたが、家電製品の除外が響いた。

 ●事業に支障なし

同市は減少額について「なんとも言えない」(企画政策課)とコメントし、今後も「国の通達に沿った返礼品にしていく」としている。寄付金の減少による影響については「基金に積み立てているので、子育てや高齢者支援の事業に支障はない」と話した。

寄付額が60%減った諏訪市は「寄付額の減少は総務省の指摘を忠実に守った結果だ」(地域戦略・男女共同参画課)と説明する。諏訪市は総務省の見直し方針を受け、高級腕時計やエアコンといった商品を返礼品から外していた。

返礼率を従来の5割から3割に引き下げた小谷村は12%減の24億円。喬木村は48%減と、総務省からの通知を受けて返礼品を見直した市村が大幅に減った。

一方で塩尻市は2.4倍の5億5507万円に膨らんだ。塩尻市でふるさと納税を担当する地方創生推進課は「新しい返礼品はない。ふるさと納税制度が有名になって定着したのではないか」と話している。

同市は返礼品としてセイコーエプソンの腕時計やプリンターを扱っているため、返礼品をやめた他市町村から寄付が流入したとみられる。同市は「セイコーエプソンは地場の企業、産業としてとらえている」と説明しており、今後も返礼品として続けていく方針だ。

 ●寄付増えた例も

総務省から再度の見直し通知を受けた市村の中にも寄付額が増えた地域もある。

駒ケ根市は17年6月にゴルフのシャフトなど資産性の高い一部返礼品を除外。17年12月にアウトドア用品のモンベル(大阪市)のポイント引換券を加えたところ寄付額が増加し、17年度は19%増えた。大町市もモンベルのポイント引換券を加えたところ寄付が急増し、17年度は12.5倍に膨らんだ。ただ、両市とも換金性が高いポイント引換券は既に取り扱いをやめた。

安曇野市は通知を受けた後も、返礼品を提供する業者との契約を18年2月まで続けた結果、寄付額は前年度から9%増えた。2~3月にいったん全ての受け付けを停止し、4月から返礼率を3割以下に見直して再開した。ただ、市内に本社を置くVAIOのパソコンについては地場産品として取り扱いを続けている。

総務省の見直し通知に沿って返礼品を見直した市町村が割を食う状況に、自治体の間には不公平感もくすぶっている。ある市の職員は「塩尻市の寄付が増加していることは知っているが、残念だ」と話した。

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