2018年7月16日(月)

オウム事件「平成」終幕意識 松本死刑囚ら7人刑執行

社会
2018/7/6 19:16
保存
共有
印刷
その他

 法務省は6日、地下鉄サリン事件など13事件を起こしたオウム真理教の元代表、松本智津夫死刑囚(麻原彰晃、63)ら7人の死刑を執行したと発表した。一連の事件で死刑が確定した元教団幹部ら13人の中で初の執行となった。1995年の逮捕から23年。2019年5月の改元を控える中、未曽有のテロや凶悪事件の「平成」決着をにらみ、執行時期を探ったとみられる。

1995年9月、移送される松本智津夫死刑囚(警視庁)=共同

1995年9月、移送される松本智津夫死刑囚(警視庁)=共同

 上川陽子法相は同日午後、東京都内で記者会見し、執行について「様々な時代の中のことも考えながら、これからのことも考えながら判断させていただいた。慎重にも慎重な検討を重ね、執行を命じた」と指摘。死刑制度を「命を絶つ重大な刑罰だが、法治国家において執行は厳正に行うべきだ」と述べた。

 政府関係者は「オウム事件は『平成』で起きた最も凶悪な事件の一つ。平成のうちに決着させるべきで、来春の代替わりまで持ち越す選択肢はなかった」と語った。

 執行の現実味が増したのは一連のオウム裁判が終結した18年1月のことだ。共犯者の裁判に証人出廷する必要はなくなり、執行を回避する事情が消えた。

 法務省は18年3月、東京拘置所にいた13人の全死刑囚の一部をほかの拘置所に移送。上川法相が7月3日に、最終的に執行命令書にサインをしたという。7人を選んだのは、教団内の立場や複数の事件に関わるなどの悪質性を考慮したとみられる。

 98年11月に法務省が死刑執行の事実と人数の公表を始めて以降、最多の同日執行となった。異例の執行の背景には、20年の東京五輪・パラリンピック開催を控え、世界を震撼(しんかん)させた地下鉄サリン事件への厳しい姿勢を世界に示す狙いもあったとみられる。法務・検察幹部は「死刑囚奪還など不測の事態を避けるため、早期執行を望む声は根強かった。時代が変わる中、執行にはこのタイミングしかなかった」とみる。

 死刑執行されたのは、教団ナンバー2の早川紀代秀死刑囚(68)のほか、サリン製造や非合法活動に深く関与した中川智正(55)、井上嘉浩(48)、新実智光(54)、遠藤誠一(58)、土谷正実(53)の各死刑囚。法務省は残る6人の死刑囚の執行時期は検討する。

 今後、教団による報復行為や松本元代表の神格化の懸念もあり、公安調査庁は、教団の後継団体の関連施設に団体規制法に基づき立ち入り検査、警戒を強化する。

 オウム真理教は89年11月に弁護士一家殺害事件、94年にVXガスを使った複数の襲撃事件や松本サリン事件を起こした。強制捜査を阻止しようと95年3月に地下鉄サリン事件を実行し13人が死亡、6000人以上が負傷し、松本元代表ら多数の信者が逮捕、起訴された。

保存
共有
印刷
その他


[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報