2018年9月21日(金)

18年春の賃上げ2.07% 中小20年ぶり高水準
連合最終集計

賃上げ交渉
2018/7/6 19:30
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 連合が6日発表した2018年春季労使交渉の最終集計によると、定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率は平均2.07%で前年を0.09ポイント上回った。直近のピークだった15年の伸び率には及ばなかったが、企業業績の伸びや人手不足を受けて待遇を改善する動きは裾野が広がっている。中小企業の賃上げ率は20年ぶりの高水準になった。

 8166組合の回答を集計した。全体の賃上げ率が前年を上回るのは3年ぶり。賃上げ額は前年より222円多い5934円だった。

 組合員数1000人以上の大企業の賃上げ率は2.09%だった。ヤマト運輸や食品スーパー大手のライフコーポレーションなど、非製造業を中心に賃上げを実施。前年を0.08ポイント上回った。

 より目を引くのが中小の積極姿勢だ。組合員数300人未満の企業の賃上げ率は1.99%と大企業よりまだ低いが、差は年々縮まっている。基本給を一律に引き上げるベアに限れば大手を上回った。背景には人手不足への切実な危機感がある。

 従業員75人が働くメッキ加工のジャスト(山形県上山市)は5年連続でベアを実施した。昨年までは2%程度だったが、今年は約4%とした。岡崎淳一社長は「現場は体力勝負の面もあるため若い社員が必要。離職を防ぐのが課題だ」と話す。

 電子部品組み立てのアルファ電子(福島県天栄村)は3年連続で2~3%のベアを実施した。「新卒や中途も比較的多く採用できるようになった」(樽川千香子取締役)のは賃上げの効果が出始めているためだとみている。「業績は厳しい状況が続くが、組み立ての受託加工にはどうしても人の力が必要だ」(同)

 ものづくり産業労働組合(JAM)が6月にまとめた集計でも、組合員100人未満の企業のベアは平均で月1704円と、1000人以上の1644円を上回った。「小さい企業ほど人材流出の防止に必死だ」(JAM)。東京商工リサーチが18年度に賃上げをした中小企業に複数回答で理由を尋ねたところ「従業員引き留め」が52.1%で最多だった。

 待遇改善の波はパートなどにも広がっている。連合の最終集計では非正規の賃上げ額は時給・月給とも前年を上回った。連合傘下最大の産別組織で小売りや外食、繊維などの労働組合が加盟するUAゼンセンの6月1日時点の集計によると、パートの賃上げ率(加重平均)は2.51%。正社員の2.12%より0.39ポイント高い。パートが正社員を上回るのは3年連続だ。

 イオン子会社のイオンリテールはパートの時給を2.7%(25円相当)引き上げる。正社員は2.3%(月6732円相当)だった。すかいらーくもパートの賃上げ率は2.42%で、正社員の2.27%を上回った。

 政府が産業界に賃上げを促す「官製春闘」は5年目に入り、安倍晋三首相は初めて「3%」という具体的な数値目標を掲げた。今回の2.07%という賃上げ率は定昇とベアの合計だが、ここでは含まない一時金や手当を含めても3%には届かなかったもようだ。

 金属加工の浜野製作所(東京・墨田)の浜野慶一社長は「3%の賃上げは中小企業にとって非常に厳しい水準だ。政府は大企業と中小を分けた目標設定をしてほしい」と注文をつける。中小を含め、賃上げを継続していけるかがポイントだ。

 賃上げは消費拡大につながるだけに景気への影響も大きい。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「来年の春闘は重要だ。相当な賃上げがないと消費増税による景気腰折れリスクもある」と指摘する。

(井上孝之)

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