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バスケ男子日本代表、東京五輪へ一歩前進

バスケットボール男子日本代表が44年ぶりとなる五輪出場に一歩前進した。2020年東京五輪の出場権につながる19年ワールドカップ(W杯)アジア1次予選で4連敗と追い込まれながら、新戦力2人の活躍でオーストラリアと台湾に2連勝。B組3位に滑り込み、2次予選へと駒を進めた。明るい展望が開けつつあるものの、2次予選突破や2年後の五輪での勝利に向けてはBリーグを通じた選手の底上げが欠かせない。

日本の2次予選進出に攻守で貢献したファジーカス(右)と八村(中)ら

ファジーカスら期待通りの活躍

1次予選で4戦全敗だった日本(世界ランキング49位)は6月29日にホームで豪州(同10位)に79-78という劇的勝利をおさめると、勢いそのままに7月2日のアウェーでの台湾(同57位)戦を108-68と快勝。20年東京五輪の開催国枠獲得にはW杯出場が最低条件とされ、特に強豪の豪州を破って道をつないだ意味は大きい。

立役者は210センチのファジーカス・ニック(川崎)と203センチの八村塁(米ゴンザガ大)だ。代表デビューとなった豪州戦でそろってスタメン出場すると、互いに30分以上コートに立ち、ゴール下から3点シュートまで幅広く攻めて計49得点19リバウンドを記録。米プロバスケットボールNBAの選手もいる豪州に対し、能力の高さを存分に見せつけた。

ファジーカスは続く台湾戦でも1人で32得点11リバウンドと大暴れ。Bリーグで「最も対戦したくない選手」と恐れられる点取り屋はゴールから見て右45度の一角を主な仕事場とし、右手のワンハンドで次々とシュートを狙った。「負けたら敗退だから自分が活躍しないといけない」と第1クオーターだけで11得点8リバウンドと気を吐き、アウェーの大観衆を黙らせた。

弱点だったゴール下に安定感

ファジーカスはアウェーでの台湾戦で32得点、11リバウンドと圧巻のプレーを見せた

得点力に加え、リバウンド争いで互角の勝負できるようになったことが、2人の加入で日本が手にしたもう一つの武器だろう。17年11月の豪州戦ではリバウンドが相手より27も少なく、24点差で完敗。今回の対戦でその差は6まで縮まり、7月の台湾戦では1次予選で初めて相手を上回るリバウンドを奪った。

「今まではリバウンドが難しく、1回のオフェンスを大事にしないといけない、セカンドチャンスもないと思うと悪循環になって、タフなミドルシュートを打っていた」。試合前にガードの篠山竜青(川崎)が語っていた従来の日本の消極的な姿はこの2戦、ほとんど見られなかった。台湾戦では約65%と高いフィールドゴール成功率を記録。インサイドに起点があるから余裕を持ってボールを回せ、外角の選手のスペースや自由度も増える。これまでとは対照的な好循環が生まれたのだろう。

フリオ・ラマスヘッドコーチ(HC)のもとで磨いてきたゾーンディフェンスもはまった。やや守備に難のあるファジーカスをゴール下に据え、機動力のある八村や馬場雄大(A東京)、ガード陣がローテーションよく奮闘。リバウンドから速攻に持ち込む展開は今後の戦い方の一つのお手本となりそうだ。

自身も豪州戦で8のリバウンドを拾ったエースの比江島慎(三河)は「2人の自信に満ちあふれたプレーに僕らも引っ張られて、守備からいい攻めができた。前の日本はどこかしらで気が抜け、押し込まれる時間帯もあったが、2人が入って40分間主導権を握れるようになった」とチームの成長を口にする。

■2次予選に成績持ち越し

手応えと自信をつかんだ日本は9月からの2次予選でイラン(25位)、カザフスタン(68位)、カタール(61位)とホームアンドアウェー方式で対戦する。全6チームが争うF組で3位までに入ればW杯出場。4位の場合でももう一つのE組の4位より成績で上回ればW杯の切符を得られる仕組みだが、先行きは決して楽観視できない。

2次予選には1次予選の成績が持ち越されるため、4連敗の影響で日本は5位スタートとなるからだ。対戦相手ではイランが抜けており、1次予選で勝ち点を稼いだ同じF組の豪州とフィリピンも大崩れは期待できない。カザフスタンとカタールに勝ち、得失点差を含めてよりよい成績で4位に入ることが現実的な目標になる。

ラマスHCは「今回と同じような内容のゲームの運びができれば、もっといいチームになる」と言う。就任から1年でチームの成熟度が増してきたことは好材料といえる一方、今秋から米国で3年目のシーズンを迎える八村が11月以降の試合に合流できるか決まっていないことは不安要素だ。今春米国の大学を卒業し、NBA入りを目指す身長206センチの渡辺雄太(23)についても、ラマスHCは日本代表への招集を熱望しているが、今後の所属先によっては参加が難しい可能性もある。

Bリーグは今秋の3年目のシーズンから外国人選手の枠を緩和。これまでより外国人選手がプレーする時間が増えるが、日本人選手が彼らにボールを預けっぱなしにしていては過去の苦い歴史を繰り返すことになる。

「頼れる人がいるから、そこは頼らないと。せっかくの武器を生かすことは大事」「(ファジーカスと八村が不在で)4連敗した中に勝てる試合もあった。もっとレベルアップできるスタートにしたい」。台湾戦直後に篠山が語った率直な思いは、これまで代表を支えてきた他のメンバーも実感していることだろう。大きな武器に合わせ、周りの選手たちもより高いレベルを目指す。そんな姿勢をこれまで以上にBリーグで見せていきたい。

(鱸正人)

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