証人名非開示は合憲 刑訴法規定、最高裁初判断
刑事事件の被告に不利な証言をする証人を保護するため、検察側が氏名を非開示にできるとした刑事訴訟法の規定について、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は5日までに、被告の権利を定めた憲法に違反しないとの初判断を示し、違憲だと主張した弁護側の特別抗告を棄却する決定をした。3日付。
刑訴法は検察側、弁護側双方に対し、公判前整理手続きなどで証人の氏名や住所を相手方に開示することを義務付けている。一方、証人に危害が及ぶ恐れがあれば原則、検察側は非開示にできる。
最高裁は、裁判所が非開示を取り消すことができる規定もあり、妥当性をチェックする仕組みが備わっているとして刑訴法の規定は合憲とした。
特別抗告したのは、元暴力団組員らを殺害した罪などに問われ、神戸地裁姫路支部で4月に裁判員裁判が始まった陳春根被告(47)の弁護人。「証言の信用性を吟味するため、事前に証人と面談する必要がある」とし、被告側が反対尋問する権利が侵害され、違憲だと主張した。
地裁姫路支部は弁護人の開示請求を棄却し、大阪高裁も支持していた。〔共同〕