弟子の評論「無比」と漱石 雑誌掲載依頼の書簡発見

2018/7/5 18:09
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新たに発見された夏目漱石の書簡(5日午後、東京都千代田区の東京古書会館)=共同

新たに発見された夏目漱石の書簡(5日午後、東京都千代田区の東京古書会館)=共同

文豪の夏目漱石が自作「虞美人草」に対する弟子の評論の雑誌掲載を編集者に依頼した書簡1通が新たに見つかり、東京古書会館(東京都千代田区)で5日、報道陣に公開された。漱石は評論を「在来無比のもの」などと推しており、中島国彦早稲田大名誉教授(日本近代文学)は「弟子が優れた批評を書いたことへの喜びと期待が感じられ、大変貴重で興味深い資料」としている。

書簡は同会館で6日から始まる「七夕古書大入札会」(明治古典会主催)に出品される。

「非常に詳密な研究」などと書かれている(5日午後、東京都千代田区の東京古書会館)=共同

「非常に詳密な研究」などと書かれている(5日午後、東京都千代田区の東京古書会館)=共同

中島さんによると、評論を書いたのは漱石門下の作家、森田草平で、手紙の受取人は、春陽堂の雑誌「新小説」の編集者だった本多嘯月。漱石に「草枕」を書かせた編集者でもある。

書簡は11月27日付で、文面や他の書簡などから「虞美人草」が刊行される直前の1907年に書かれたとみられる。

漱石は森田の評論を「非常に詳密な研究」「在来無比のもの」などと褒め、同誌の正月号への掲載を依頼した。森田の評論は結局、同誌に掲載されず、その後に別の媒体に発表されたかどうかも不明という。

漱石は当時、読売新聞に掲載されていた「白雲子」なる筆名による批評の質に憤慨していたといい、中島さんは「それだけに、森田の本格的な文学評論に期する気持ちが高まっていたのではないか」と分析している。

入札会には他に、作家の太宰治が心中未遂を起こした後、井伏鱒二らに宛てて書いた覚書や、三島由紀夫が知人に宛てた書簡なども出品される。

8日は業者しか入場できないが、6、7日は一般公開される。〔共同〕

太宰治が井伏鱒二らに宛てて書いた覚書(5日午後、東京都千代田区の東京古書会館)=共同

太宰治が井伏鱒二らに宛てて書いた覚書(5日午後、東京都千代田区の東京古書会館)=共同

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