さらば睡眠負債! 最新快眠グッズで熱帯夜もぐっすり

夏本番が近い。日本の夏に付きものになった熱帯夜だが、何とか熟睡して疲れを取りたいと考える人は多いだろう。そんな望みに応える快眠グッズとして、布団内の温度を調節するエアマットが登場した。いびきに悩む人に向けた枕などとともに、各種グッズを探った。
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連日の熱帯夜に悩んだ人が多かったせいだろうか、2017年には「睡眠負債」が新語・流行語大賞のベストテンに入った。一般の睡眠への関心は今、非常に高まっている。
「体温管理」が質向上のカギ
慶応義塾大学医学部睡眠医学研究寄付講座特任教授で、東京睡眠医学センター長の遠藤拓郎氏によれば、睡眠の質向上の決め手となるのが体温管理である。「睡眠時には体温が1度程度下がる。特に夏は、高温多湿を避けることが重要になる」という。
この考え方に合わせるかのように、布団内の温度を調節して体温が下がった状態を維持しやすくする寝具が開発された。2月に発売されたレイコップの「ふとんコンディショナー」だ。敷布団の上に載せた専用のマット内に送風し、布団内の温度を体温より低めの33度プラスマイナス1度に保つ仕組みである。
マットは弾力があり、寝心地は上々。価格は約14万円と寝具としては割高だが、除菌や脱臭ができるとうたう「寝具ケアモード」も備える多機能さも魅力だ。遠藤氏は「体温をコントロールできるのは効果的」とみている。


体内時計の乱れから、夜なかなか寝付けない人には、「PEGASI ライトセラピーメガネ」(Shenzhen Qianhai Icecold IT Co.,Ltd.)が向く。朝7~9時の間、1回25分程度着用するだけで、目にブルーライトを当てて体内時計の乱れを調整できるとうたう。
ライトセラピーメガネは視界を妨げず、掛けたまま朝の支度ができるが、1サイズなので、顔が小さいとずれ落ちるケースもあるようだ。
一方、いびきは騒音面ばかりに目が行きがちだが、実は気道がふさがれているのが原因だ。「酸素不足で心臓の働きが活発になるため、興奮状態を示す交感神経が活発になる」(遠藤氏)といい、睡眠の質低下のサインでもある。
ウェザリージャパンの「Snore Circle」は、骨伝導などでいびきを検知すると、音と振動を発するイヤホンだ。神経への働きかけにより、喉の筋肉の緩みを引き締め、気道を広げてスムーズな呼吸へ導くという。
実勢価格は1万5200円で、遠藤氏は「根本治療にはならないが、対処法としては効果がある」とみる。専用のアプリと連動し、いびきの回数計測や録音も可能だ。自分のいびきが周囲に迷惑をかけていないか、確認できるのは便利だろう。
抱き枕が促す横向きの姿勢

いびきは、あおむけに寝たときに出やすいことも知られている。あおむけだと、重力で下がる顎が気道をふさぎ、それが原因になりやすいからだ。このため、いびき防止には横向きで睡眠をとることも効果的だ。最近は、抱き枕が横向き睡眠を促すグッズとして注目されている。
中でも「Body Pillow IBIKI」(ロフテー、税別3万8000円)は、長さが165センチメートルあり、全身をぐるりと囲む大型のU字形抱き枕だ。これまでの抱き枕では、寝返りを打てば、すぐにあおむけになってしまうが、このタイプは背中からも体を挟み込むため、寝返りがしづらくなる効果がある。
一方、「MOGU胎児姿勢になれる抱き枕」(MOGU、まくら)は軟らかい球状で価格は4000円程度。極めて軟らかく、抱いて眠ると確かに胎児姿勢になる。「横向きの睡眠姿勢に有効だが、寝ている間にあおむけになる不安はある」と遠藤氏。ただ、各種睡眠グッズの中では比較的手ごろな価格なので、入門編として良いかもしれない。
(4日発売の日経トレンディ8月号から再構成)
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