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先発か抑えか 「最高の投手」に任せるべきは…
野球データアナリスト 岡田友輔

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2018/7/8 6:30
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先発投手に続き、今回は救援投手にスポットを当てたい。昨季のソフトバンクは六回終了時にリードしていれば76勝3敗という盤石のブルペンを誇り、日本一に輝いた。ところがプロ野球新記録の54セーブを挙げ、最優秀選手にも選ばれた抑えのデニス・サファテらが離脱している今季は強さが影を潜めている。一方、昨季最下位に沈んだヤクルトは先日の交流戦でリリーフ陣が奮闘し、最高勝率を獲得した。昨今の野球ではブルペンがチームの浮沈を左右する。野球の統計学「セイバーメトリクス」では救援投手をどのように評価するのか。その概要を紹介したい。

セーブを挙げ、福良監督(左)とタッチするオリックス・増井。昨今の野球ではブルペンがチームの浮沈を左右する=共同

セーブを挙げ、福良監督(左)とタッチするオリックス・増井。昨今の野球ではブルペンがチームの浮沈を左右する=共同

基本的な手法は先発投手と変わらない。詳しくは前回の6月3日付「安打は投手の責任か 防御率では測れぬ能力」を参照いただきたいが、野手が介在しない部分だけを投手の責任範囲として定義したうえで、球場の広さや守備のレベル、ツキなどのノイズを極力排除した理論上の失点率「tRA(true Runs Average)」が投手としての能力を示す。三振が取れて四球が少なく、ゴロの比率が高いほどtRAは優れた数値となる。とはいえ、先発とリリーフでは投げるイニング数も求められる役割も違う。そこをどのように評価すればいいか。先人たちは様々な工夫を凝らしてきた。

救援の役割や難易度、局面で変化

長いイニングを最少失点でまとめることが求められる先発に対し、リリーフの役割や難易度は局面ごとに大きく変わる。同じセーブがつく九回のマウンドでも3点差なら2失点でも構わないが、1点差ならゼロでなければ失敗だ。1点リードの九回2死満塁で取る1つのアウトには、敗戦処理で複数イニングをゼロに抑える以上の価値がある。リードを守れなかった抑え投手にサヨナラ勝ちで白星がつくこともあるが、これは素直に喜べない。勝ち星やホールド数、セーブ数だけで救援投手の価値を測れないのはいうまでもないだろう。

そこで役に立つのが「RE24(Run Expectancy based on the 24base-out states)」と呼ばれる指標だ。アウトカウントと走者の状況に応じた「得点期待値」を踏まえ、投手が潜在的な失点をどれだけ防いだかを示す。たとえば、日本のプロ野球における2014~16年のデータに基づくと「無死走者なし」から回の終わりまでに入った得点の平均は0.441だった。これを「得点期待値」と呼ぶ。毎年、似たような値に落ち着く。

イニングのアタマから登板した投手が1イニングを無失点に抑えた場合、その投手は0.441点を防いだことになる。逆に1失点してしまうと、期待値との差分の-0.559がRE24として計上される。無死満塁で登板して抑えたときのRE24は2.079だ。この物差しで17年の救援投手を測るとトップはサファテ。66登板で20.1点を防いだ。それに次ぐのがソフトバンクの八回を担った岩崎翔と中崎翔太(広島)の17.7だった。

ここにイニングや点差の要素を加えた「勝利への貢献度」という視点からの評価も可能だ。「WPA(Win Probability Added)」と呼ばれる指標で、登板した状況からマウンドを降りるまでに、自軍の勝利の確率をどれだけ増減させたかを測る。

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