2019年3月19日(火)

覚悟の「独身」貫く三菱重工、工作機械1000億円へ自分磨き

コラム(ビジネス)
2018/7/4 19:30
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歯車工作機械大手の三菱重工工作機械は4日、都内で事業説明会を開き、2030年までに売上高を1000億円規模に倍増させる目標を明らかにした。主力の自動車向けは電動化が進めば先行きも険しい。ジェイテクトとの資本提携を断念した同社にとって、覚悟の独身を貫くには規模拡大や利益体質の定着が待ったなしの状況だ。

会見する三菱重工工作機械の岩崎啓一郎社長

三菱重工とジェイテクトは17年12月、提携協議開始で基本合意したと発表。ジェイテクトによる資本参加も含めて検討し、18年7月の正式契約を目指すはずだった。売上高の単純合計なら国内大手に匹敵する2000億円程度となり、工作機械業界では久々の大型再編として注目された。

ところが5月、両社は協議の打ち切りを発表した。中止の理由について三菱重工工作機械の岩崎啓一郎社長は、両社の企業体質が合わなかったと認めた。受注生産が中心の三菱重工工作機械と、量産志向が強いジェイテクトの間には溝が大きく、提携協議は「時期尚早だった」(岩崎社長)。

独自路線を選んだ三菱重工工作機械が成長戦略の中心に据えるのが、国内シェア6割を握る歯車工作機械などニッチ分野で高い競争力の維持だという。21年3月期までの3年間は毎年、売上高の5%以上を研究開発費と設備投資につぎ込み、生産の一部標準化も進めて営業利益5%以上の維持を目指す。

歯車機械は自動車の変速機向けの歯車の製造などに多く使われるが、エンジンも多段トランスミッションもないEVへの移行が進めば需要が減少する可能性は高い。三菱重工の連結売上高営業利益率(3%)と比較すれば5%は高水準だが、世界大手からは見劣りする。

3Dプリンターなど同社が期待をかける新事業が将来、どの程度の市場規模に育つのか予想は難しいのが現実だ。岩崎社長も「(目標として掲げた)1000億円は根拠を持っている数字ではない」と率直に認める。

三菱重工は稼ぎ頭の発電用大型タービンや、社運を賭ける国産航空機「MRJ」の不振が長引いている。グループの再編が今後も相次ぐのは確実で、身内同士の競争にも終わりはない。大勝負に出た提携が破談に至ったいま、これまで以上に全力で自分磨きに精を出す必要がありそうだ。(企業報道部 井沢真志)

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