2018年9月23日(日)

中国の報復関税、米国産原油に下げ圧力

2018/7/4 12:15
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 米国との貿易摩擦を巡り、中国の対抗措置の発動期限が6日に迫った。報復関税はまず農産物が主な対象。第2段階で原油などエネルギーも対象に据える構えだ。米国の原油輸出は中国向けが2割を占め、市場では米国の輸出拡大にブレーキがかかるとの見方が浮上。米指標原油の上値を抑える可能性が意識されている。

米国の原油輸出は中国向けが2割を占める(中国の給油所)=ロイター

米国の原油輸出は中国向けが2割を占める(中国の給油所)=ロイター

 中国は米国の追加関税に対抗し、2段階で関税措置をとる。6日に大豆など農産物を中心に340億ドル相当を対象に発動。残り160億ドル相当の発動時期は今後決めるが、原油などエネルギーが目立つ。追加関税は米国と同じ25%だ。

 米国にとって中国はカナダに次ぐ第2の原油輸出先(2017年)。米国はシェールオイル増産で輸出量が3年で3倍に膨らんだ。指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物の割安感が一時強まったこともあり、18年1~3月の中国の輸入量は前年同期の倍になった。

 ただ中国の輸入原油のうち米国産は数%にとどまる。「中国が代替輸入先を確保するのは容易だが、米国が中国のように大口の代替輸出先を見つけるのは難しい」と英調査会社ウッドマッケンジーはみる。

 米石油業界には懸念が広がる。米石油協会(API)は6月、トランプ米政権による対中関税について「主要な貿易相手国との貿易戦争は、米国の経済に有害だ」との声明を出した。

 中国は米国産に代えて、アフリカや中東から輸入を増やす手がある。協調減産の緩和を決めたサウジアラビアやロシアからの調達は容易だろう。米国が経済制裁を科すイランも有力な供給元だ。米国はイランからの輸入をゼロにするよう各国に求めるが、中国は応じない方針だ。

 「中国は他の国から輸入するので世界的には相場に中立だが、WTIには下押し圧力がかかる」とニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは指摘する。ロンドン市場の北海ブレント原油先物と比べたWTIの割安さは一時より縮小したが、再び価格差が開く可能性もある。

 中国は米国の追加関税に一歩も引かない姿勢を示すが、報復関税のリストをよく見ると強気一色ではない。原油のほか天然ガスを盛り込む一方、液化天然ガス(LNG)は外した。中国はもともと気体のガスを米国から輸入していないが、米国のLNGの大口顧客だ。

 中国は深刻な大気汚染を抑えるため、燃料を石炭からガスに切り替える政策を推進。LNGに高関税をかければ国内のインフレ圧力を高めかねない。昨冬はガスの調達が後手に回った苦い経験もある。原油はともかく、LNGは米国産を外すわけにいかない中国の弱みも透けて見える。

(久門武史)

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