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スイカで創る「モビリティーのJR東」、経営構想を発表

JR東日本は3日、2027年度までの中期経営ビジョンを発表した。人口減に伴う本格的な需要減少時代を迎えるなかで打ち出したのが、配車サービスなどのモビリティー(移動手段)との連携。鉄道を中軸にしながら、消費者が目的地までスムーズに移動できる環境を提供して生き残る戦略だ。多様な移動手段を束ねるのが決済サービスの「Suica(スイカ)」。買い物の世界で広げてきた「スイカ経済圏」が、厳しくなる経営環境で真価を問われる。

2027年度までの経営ビジョンを発表する深沢祐二社長(3日、東京・渋谷)

「鉄道ニーズが減少するリスクを抱え、今までの経営戦略だと立ちゆかなくなる」。4月に就任した深沢祐二社長は同日の定例記者会見で、経営ビジョンの前提となっている経営環境をこう説明した。

環境の厳しさを表すキーワードが「人口減少+α」。JR東の輸送量は人口減の影響だけで東京五輪がある20年に比べて30年に4%減、40年に9%減と試算。在宅勤務などの働き方や自動運転の普及が加わり、さらに減る可能性があるとの認識を示した。

そうした認識の中で打ち出したコンセプトが「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」だ。あらゆる移動手段とつながる基盤を提供するという意味だ。タクシーやバスのほか、台頭する配車やシェアサービスと鉄道をつなぎ、旅客の「総移動時間の短縮」を目指すという。

カギとなるのがスイカだ。様々な移動手段のほか、オフィスやホテルへの入館にも使えるようにし、スイカがあればシームレス(継ぎ目なし)の移動を実現することを訴える。鉄道ではタッチレスやゲートレスの改札も導入する。

JR東は最適な移動手段を検索・手配でき、スイカで決済するアプリも提供する方針だ。需要減の影響は避けられないなかで、スイカを中核にした一連の仕組みを整えることで鉄道離れをなるべく抑えていく戦略だ。

同日に発表した経営目標は22年度までの数字。売上高は3兆2950億円と18年度計画比で10%、営業利益は5200億円と8%増やす。中間目標との位置づけで、本格的な需要減時代となるその先の業績目標は示さなかった。

深沢社長は「鉄道を起点としたサービス提供からヒトを起点とした価値・サービスの創造に転換する」と表明した。いかにたくさんの旅客を運ぶかに重きを置くのではなく、快適な移動を提供していくとの意味も込められている。日本人の生活スタイルとともに経営を変えていくことが迫られている。

(企業報道部 岩本圭剛)

[日経産業新聞 2018年7月4日付]

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