介護職員、7割がハラスメント経験 労組調査
介護職員の約7割が、利用者やその家族から暴言や暴力、性的な嫌がらせなどのハラスメントの被害に遭っていたことが、介護職員でつくる労働組合「日本介護クラフトユニオン」の調査で分かった。職場の上司に相談しても状況が変わらないケースも多く、同ユニオンは対策の必要性を訴えている。

調査は2018年4~5月に同ユニオンの組合員約7万8千人を対象にし、2411人が回答した。1790人(74%)が「ハラスメントを受けたことがある」と答え、そのうち94%が利用者に暴言などパワハラ、40%がセクハラにあたる行為を受けていた。
パワハラの具体的な内容(複数回答)は「攻撃的態度で大声を出す」(61%)が最も多く、「暴力」(22%)、「『バカ』『クズ』などの暴言」(22%)などが続いた。土下座の強要(3%)などの被害に遭った人もいた。
セクハラでは「不必要に身体に触れる」(54%)や「性的な冗談を繰り返す」(53%)、「性的な関係の要求」(14%)などがみられた。こうした被害に遭った介護職員の多くが強いストレスを感じており、精神疾患になった人もいた。
パワハラ、セクハラともに、被害に遭った約8割の職員が上司や同僚などに相談をしていたが、そのうち4~5割が相談後も状況が変わらなかったと答えていた。
そのほか、被害を誰にも相談できなかった約2割の人は相談しなかった理由について「相談しても解決しないと思ったから」「認知症に伴う症状だから」などとし、介護職員の多くがこうしたハラスメント行為を我慢している実態が明らかとなった。
自由記述では「介護職は(ハラスメントを)我慢するのが当然という風潮がある」などの意見があり、法整備や罰則強化、職員の心のケアを求める声もあった。
同ユニオンの久保芳信会長は「被害は深刻で犯罪ともとれる行為もあり、対策を考えていく必要がある」と訴えた。