2018年9月23日(日)

自由貿易死守に動くアジア

東南アジア
北米
The Economist
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2018/7/4 2:00
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The Economist

 現在、米国と中国が貿易戦争の瀬戸際にあると認めないわけにはいかないだろう。トランプ米大統領は、中国からの4500億ドル(約49兆810兆円)相当の輸入製品に対し、関税を引き上げると脅している。6日に第1弾として、340億ドルの中国製品に対する関税措置を発動する。トランプ氏は、これにより中国が譲歩してくることを期待している。だが、中国が譲歩しなかったらどうなるのだろうか。他のアジア諸国は、今ごろになって直面している事態の大きさに気づき、こんな疑問を抱くようになっている。

トランプ政権が保護貿易主義を強める中、アジア諸国は自由貿易体制の死守に力を入れ始めた(1日、東京で開かれたRCEPの閣僚会合)

トランプ政権が保護貿易主義を強める中、アジア諸国は自由貿易体制の死守に力を入れ始めた(1日、東京で開かれたRCEPの閣僚会合)

 世界的なサプライチェーンが断絶すれば、最も大きな影響を被るのは、その中核をなす東アジアと東南アジアだ。平均して、中間財はアジア諸国の輸出の半分以上、輸入の5分の3以上を占める。

 シンガポールを拠点に政府や企業に助言するシンクタンク、アジア通商センターのデボラ・エルムズ氏によると、アジア諸国は、あまり認識されていない様々な形で深く結びついているという。韓国製の液晶画面や台湾製の半導体が、中国でiPhoneとして組み立てられ、米国のユーザー向けに出荷されているというのはよく知られている。似たような例は無数にある。エルムズ氏によると、多くのアジア企業は自社製品が最終的にどこへ行き着くかさえ認識していない場合もあるという。そのため、迫り来る貿易戦争の危機にさらされていることをまだ認識していないかもしれない。

■必要なら米国抜きの貿易協定の締結へ

 一方で政治指導者たちは、貿易戦争がもたらす影響を自国企業よりも先読みしているようだ。6月上旬にカナダで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議はトランプ氏が昔からの同盟国を厳しく非難したことから不協和音に満ちたものとなり、遅ればせながらアジア中に懸念が広まった。指導者たちは以来、開放的でルールに基づいた貿易秩序を守ろうという決意を示すことに躍起だ。必要とあらば、米国抜きの貿易秩序を築くつもりだ。

 一例が、太平洋両側の11カ国が加盟する「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」で、ゴールドスタンダード(絶対標準)となる自由貿易協定だ。これは、昨年初めにトランプ氏が米国を離脱させた環太平洋経済連携協定(TPP)の代わりとなるもので、今年3月に各国が署名した。特に批准を急ぐ必要はないという姿勢が当初、一部の関係国に見受けられたが、もはやそんなことはない。カナダ、オーストラリア、日本は、手続きを早めるつもりだと発言している。韓国は、トランプ氏に2国間貿易協定を再交渉するよう強要されたが(また、米国との強い軍事同盟を維持できるかでも懸念を抱えているが)、CPTPPへの加盟を申請する見込みだ。

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