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デジタルデフレ再考(大機小機)

この欄に「デジタルデフレ考」と題して書いたのは2014年1月だ。日進月歩のデジタル技術が物価抑制に作用すると指摘した。あれから4年半。この傾向はさらに強まっている。

5年経っても2%のインフレ目標を達成できない日銀も、デジタルデフレを無視できなくなったようだ。先月公表した調査統計局のリポートでは、ネット通販の拡大が消費者物価を下押ししていると分析した。

ネット通販の価格自体は消費者物価指数の調査対象ではないが、日用品や衣料で競合するスーパーなどの小売業の価格設定に影響を与えていると指摘。生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価指数を、0.1~0.2ポイント押し下げていると推計した。海外でも「アマゾン・エフェクト」と呼ばれ、日本だけの現象ではないと付け加えている。

ネット通販に限らない。メルカリの上場で注目が集まるネットフリーマーケット。利用者が増えれば、家庭に退蔵されていたモノが商品としてどんどん出回る。新品の価格や販売量に抑制効果をもたらす、と考えるのが自然だろう。

デジタル技術の申し子ともいえるシェアリングエコノミーも、影響が無視できなくなるだろう。ライドシェア(相乗り)や民泊紹介サービスがよく知られるが、対象や市場の急拡大が見込まれている。例えば、同じ自動車を多くの人が利用する「カーシェアリング」は、新車の生産量や価格に影響を及ぼすはずである。

デジタル化は消費者の選択肢を増やし、物価上昇に対抗する「ネット拮抗力」とでも呼ぶべき力を授けている。さまざまなモノやサービスの価格が安い順に瞬時に並ぶ価格比較サイトはそのわかりやすい例だ。

逆に、デジタルインフレ現象はあるのか。頭の体操を試みても思いつかない。デジタルの世界では、情報技術の限界費用が限りなくゼロに近づくとされる。デジタルデフレは一過性の現象ではなさそうだ。

日銀の2%物価目標は、達成時期がどんどん先送りされ、前回4月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、ついに達成時期が削除された。

日銀は7月末に公表する展望リポートに向け、物価の弱さの分析を深めるという。デジタルデフレをどう織り込むか、見どころである。

(手毬)

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