大鵬薬品、抗がん剤の生産能力を増強

2018/7/3 15:51
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大塚ホールディングス傘下の大鵬薬品工業が、がん領域を強化している。埼玉工場(埼玉県神川町)などがある「埼玉サイト」で64億円を投じて抗がん剤などの原薬の製造・研究棟を竣工し、10月にも稼働する。

大鵬薬品工業はがん領域強化のための新設備を2日、竣工した(埼玉県神川町)

大鵬薬品はがん領域強化のため新たな原薬工場を新設(埼玉県神川町)

大鵬薬品はがん領域強化のため原薬工場を新設した(埼玉県神川町)

3日に記者会見した合成技術研究所の矢野伸吾所長は、「がんの薬が短期間で承認される傾向が増えており、スピードや柔軟性が今後ますます必要になる」と話した。

JR上越新幹線本庄早稲田駅から田園を抜け、車で10分の場所に大鵬薬品の新施設はある。ここでは今後、がん細胞を狙って作用する分子標的薬を中心とした抗がん剤の原薬を作る。

3階建てで、延べ床面積は4700平方メートル。工場棟には最大2000リットルと従来の10倍の処理能力を持つ原薬を製造するための大型タンクなどを設置。抗がん剤の原薬は構造が複雑で開発が難しいうえに「特に外注先の海外の製造受託企業(CMO)の受注が混み合っている」(矢野所長)。

自前にすることで、薬の成分を見つけてから治験に使う原薬を製造するまでの期間がこれまでの1~2年から、6カ月程度縮められるという。

大鵬薬品の研究・製造拠点は徳島工場(徳島市川内町)、犬山工場(愛知県犬山市)など6カ所で、埼玉工場は医療用医薬品で唯一の原薬工場だ。1日時点で埼玉サイトの従業員は114人だが、今後工場の稼働に合わせて順次増やす。

これまで北島工場(徳島県北島町)で治験薬製造などの内製化をすすめてきたが、今回の新棟の稼働で原薬の初期の商用生産までを可能にして、内製化の基盤を完成させる。作業員や施設周辺の安全のため、薬に触れないように建物の中に行くほど減圧する「封じ込め技術」も採用した。

大鵬薬品の海外売上高比率は14年に5%未満だったが、17年には約20%に増えている。「原薬製造工程の短期化でさらに国際的な競争力につなげる」(矢野所長)狙いがある。

一般消費者には女優の菅野美穂さんらが出演する「愛情1本」のCMでおなじみの栄養ドリンク剤、チオビタドリンクのイメージが強い同社だが、実はそうした消費者向け製品の売上高は2017年度で1割にすぎない。

一方で半世紀以上前から取り組むがん領域は全売上高1300億円のうち75%を占め、足元で最も注力する分野だ。2010年代に入ると、がん治療薬「ロンサーフ」など複数のがん治療薬の販売で伸びてきた。今後はスピードと柔軟性で成長領域に挑む。

(西岡杏)

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