2018年7月21日(土)

「体育会系=勝ち組」に異変? 就活強者の苦悩
お悩み解決!就活探偵団2019

就活
コラム(ビジネス)
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2018/7/4 6:30
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 就職活動において体育会系学生は間違いなく「強者」だ。学生時代に力を入れたことがはっきりしており、OB・OGとのつながりも深い。まして今は売り手市場、何も問題はないはず――。と思いきや、意外に苦戦しているという。本当だろうか。探偵(記者)が調査したところ、体育会系学生ならではの苦悩が浮かんできた。

イラスト=強矢さつき

イラスト=強矢さつき

 「面接官によって、肩書が『刺さる』人と、そうでない人がいる」。私大4年の男子学生Aさんはこう明かす。大学スポーツの華ともいえる、誰もが知る名門大の名門運動部に所属。だがその肩書は「年配の人には受けるが、一次面接で出てくる若い面接官はそれほど食いつかない」。

 Aさんの学生生活は「大学日本一になること」にかけてきた。就活のことを考える余裕はなく、金融や運輸など計10社を受けたが、内定はまだない。「そもそもスポーツのほかにアピールできるものがない。どうしたらいいのか」とここに来て頭を抱えている。

 就活において壁に直面する体育会系学生は少なくないようだ。

就活探偵団2019

就活探偵団は就活生の悩みを探偵(日経記者)が突撃取材で解決する連載企画。新就活生に必要な心構えや、就活準備に役立つ情報を掲載します。

 「あの時、答え方を間違えたかもしれない」と振り返るのは国立大経済学部4年で運動部の男子学生Bさん。大手商社の最終面接でのこと。世間を騒がせた日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題が話題に上り、面接官に「あなたなら指示されたら実行しますか?」と質問された。Bさんは「できません」と即答。面接には落ちた。後になって「もっと違う切り返し方があったかも。実際に上司が理不尽な指示をする場合もあるかもしれない」などとあれこれ考えている。

 Bさんが就活を始めたのは5月と遅めだ。第1志望の金融は全滅。「肩書に安住して対策を怠っていた。内定をもらっている学生は皆、自己分析や面接対策に地道に取り組んでいた」。最終的に自動車部品メーカーの内定を得たが、「周囲には『なぜメガバンクに行かなかったの?』と意外感を持たれた」という。

 そもそも体育会系学生は、なぜ就活に強いとされてきたのか。

 三井物産の採用担当者は「いわゆる体育会系枠は設けていない。あくまで学生の『挑戦と創造』を、面接を通じて見ている」とするが、「採用者のおおむね3割程度は体育会系」だという。

 ある私大のキャリアセンター関係者は「全員が苦戦している訳ではない」と前置きしつつ、「最近は企業が学生を多面的に評価するようになり、根性論だけでは乗り切れなくなってきたようだ」と話してくれた。「かつては元気があって挨拶がきちんとできるというだけで体育会系が引く手あまただった時代もあった」とも。

■3つの弱点

 体育会系学生の就活支援を手掛けるアスリートプランニングの中村祐介社長は「日本の新卒採用は、学生をポテンシャルで評価してきた。組織文化を受け入れ、与えられた目標を達成する耐性がある点で、体育会系学生は有利」と見る。そのうえで中村社長は、体育会系学生には「特有の弱点も3つある」と指摘する。

 まず「練習との両立」。練習が忙しくて就活の意識が希薄になり、他の学生に比べて業界研究や自己分析などがおろそかになってしまう。

 第2に「学外の大人と接する機会が少ない」。普段から練習が忙しくアルバイトもできない。おまけに部のOB・OGといった特定の大人としか接点がなく、どうしても世界が狭くなる。

 そして第3に「就活の時期が早まったこと」。いまや就活の開始は3年の夏のインターンシップだ。体育会系学生にとって3年の夏は合宿や試合が立て込み忙しい。以前は準備不足の学生であっても、4年になって本腰を入れれば何とか追いつけた。だが最近は採用スケジュールの前倒しのせいで、巻き返しがかなわなくなっている。

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