2018年9月20日(木)

メルケル政権、崩壊の瀬戸際 70年来の友党と移民で溝

ドイツ政局
ヨーロッパ
2018/7/2 18:03
保存
共有
印刷
その他

 【ベルリン=石川潤】ドイツのメルケル連立政権が崩壊の瀬戸際に立たされている。メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)と70年近く統一会派を組んできた姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)が、移民・難民政策を巡る対立が解消しなければ連立を離脱する可能性もあると示唆しているためだ。メルケル氏は2日、要求を認められなければ内相とCSU党首を辞任すると表明したゼーホーファー氏と会談し、事態の収拾を探った。

 「党首と内相を辞任する」。難民らの流入抑制を主張するゼーホーファー氏は1日、CSUが開いた幹部会で突然、表明した。メルケル氏との難民政策の溝が埋まらないため、いわば捨て身の姿勢でメルケル氏に譲歩を迫る考えを示した。

 ゼーホーファー氏が辞任した場合、影響がどう広がるかは読みにくい。CSUとメルケル氏との対立が決定的になり、連立離脱に突き進む可能性も否定できない。

 3月に発足したばかりの第4次メルケル政権はCDU、CSUとドイツ社会民主党(SPD)による連立政権。仮にCSUが連立から抜ければ連邦議会(709議席)で過半数を維持できなくなる。メルケル氏の基盤が少数与党に転じれば、政権はますます不安定になる。ほかの連立相手を探すか、議会の解散と総選挙に持ち込むことがメルケル氏の選択肢になる。

 対立が深まったのは、ほかの欧州連合(EU)加盟国で登録した難民らをドイツ国境で追い返す権限を警察に与えるべきだとゼーホーファー氏が主張したことがきっかけだ。メルケル氏は、そんなことをすれば国境封鎖の連鎖が広がり、域内の移動の自由が失われてしまうと反対した。

 内相の権限で流入規制を強行する構えをみせるゼーホーファー氏と、その場合は解任も辞さないとするメルケル氏の対立が先鋭化。ゼーホーファー氏は連立崩壊の引き金となりかねない流入規制の強行をいったん見送る代わりに、6月末までに対策をまとめるようにメルケル氏に求めていた。

 メルケル氏は6月末のEU首脳会議で、EUの域内外に難民施設を設置することや域内の難民らの移動を制限することで合意。ほかの加盟国と2国間協定を結び、ドイツに入国した難民らを送り返せるようにした。だが難民らの上陸が多いイタリアとドイツが2国間協定を結ぶメドが立たないなど、メルケル氏の対策には欠点も少なくない。

 CSUが1日開いた幹部会でゼーホーファー氏は「不十分だ」とメルケル氏の対策を強烈に批判し、国境線の管理により思い切った措置をとるように要求している。

 メルケル氏はEUやほかの加盟国との連携を重視し、ドイツが単独で難民らの流入抑制を進めることには慎重だ。2日の党首会談でゼーホーファー氏を納得させられる妥協策を見いだせるかはなお不透明といえる。

 メルケル氏がCSUに歩み寄りすぎれば、親欧州の立場をとるSPDとの関係がきしみかねないという問題もある。SPDは移民・難民問題を欧州全体で解決するように主張しており、ゼーホーファー氏に批判的だ。

 問題の根底には2017年9月の連邦議会選挙で与党が議席を大幅に減らし、メルケル氏の求心力が大幅に低下していることがある。欧州の盟主とされるドイツの政局が再び混乱を極めれば、ユーロ圏改革などの欧州全体の課題の解決にも影響が及びかねない。

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報