2018年9月19日(水)

諮問機関と対話実る 「潜伏キリシタン」世界遺産登録

2018/6/30 18:00
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 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本両県)の世界文化遺産登録が30日、正式に決まった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会の諮問機関から、勧告前に助言を得て世界遺産に登録された国内初の事例。世界遺産委に登録の可否を勧告する立場の組織に力を借り、地元住民らの悲願を達成した。

 政府は当初、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」との名称で2015年にユネスコに推薦書を提出。キリスト教の伝来から繁栄、弾圧の歴史を幅広く盛り込んだ。

 ところが、諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)は16年、「評価基準を満たしているとの証明が不十分」と指摘。「禁教期に焦点を当て、推薦内容を見直すべきだ」と突きつけた。

 指摘を受けて政府は推薦をいったん取り下げて再検討。名称に「潜伏キリシタン」を盛り込み、潜伏キリシタンが暮らした集落を中心とする一方、禁教期とは関係ないキリシタン大名の城跡などを除外。遺産の内容を再構成し、翌17年に再び推薦した。

 短期間に推薦内容を見直し、登録決定まで結びつけられたのは、長崎県がイコモスとアドバイザー契約を結び、推薦書の内容について練り直せたことが背景にある。

 こうした「対話型」ともいえる推薦手順はユネスコが11年に導入した。

 かつては、審査への影響を避けるため諮問機関と推薦国の接触は禁じられていた。ただ、各国代表で構成する世界遺産委が、自国の登録を優先させたり、世界遺産の件数が少ない地域を優先させようとしたりし、保全状況や資産の価値を重視する諮問機関の勧告を覆す事態が相次いだ。

 ユネスコは諮問機関の意見を、登録決定により反映させるため、新たな対話型プロセスを導入。推薦書の作成過程から関与することで、諮問機関は意向を早期に伝えることができ、推薦する国側も、確実に登録に結びつけられるメリットがあるという。

 世界遺産の登録は今後、狭き門になる見通しで、20年から世界遺産委の審査件数は1国1件といった上限ができる。

 今回の登録決定は新たなプロセスが奏功したものといえ、今後の世界遺産の推薦でも注目されそうだ。

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