2018年11月21日(水)

国境の山に響く祈り 少年ら13人不明から1週間

2018/6/30 9:57
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タイ北部チェンライ郊外の洞窟で、地元サッカーチームの少年ら13人が23日から行方不明になっている。懸命な捜索にもかかわらず、丸1週間が過ぎても発見には至っていない。「戻ってきておくれ」。生存を信じ、生還を願う親たちの悲痛な祈りの声が昼夜を隔てず山々に響き渡っている。

タイ北部タムルアン洞窟近くで、行方不明になった少年らの無事を祈る家族たち(28日)=共同

「生きて帰ってきますように」。ミャンマー国境に近いタムルアン洞窟そばで農業、アイワ・サムオーンさんが目の前の小高い山々を眺めながら、じっと立ち尽くしていた。山の下には息子がいると信じる洞窟がある。

関係者などによると、行方不明になっているのは11~16歳の12人とチームの男性コーチ(25)。23日の練習後、国立公園内にあるタムルアン洞窟に入ったようだ。その理由は分かっていない。

雨期のため降雨が続き、洞窟内には鉄砲水のように雨水が浸入し、捜索隊の行く手を阻む。水も食料もなく、生命の危険が高まっている。

ミャンマー少数民族のアイワさんは長男アドゥンさん(15)を寄宿舎に住まわせ、タイのキリスト教系の学校に通わせていた。「息子のことを思うと切なく、悲しい」。山々を見つめるアイワさんの目に涙が浮かんだ。

少年たちの両親や親族ら約40人は、洞窟近くに設置されたテントに集結。大半が仏教徒で、僧侶も駆けつけ、読経のテープが時折流れる。両手を合わせて目をつむり、ひたすら祈る女性。椅子にうなだれて動かない母親らしき姿も。排水機などの電力源となる発電機がうなる重低音に混じり、昼も夜も読経する親たちの声が響く。

捜索は水との闘いだ。チェンライ県のナロンサク・オソタナコーン知事は「水をはき出したかと思ったら、また降雨で水位が上昇する繰り返しだ」と語り、捜索が難航していると説明した。

長さ約10キロとされる洞窟の入り口周辺には、24時間態勢の捜索を後方支援するために水や食事、長靴や衣類などがたくさん準備され、救急車が待機している。

家族らは望みを捨てていない。「お願いだから、出てきておくれ。みんなが待っている」。おいの安否を気遣う女性が懇願するようにつぶやいた。(チェンライ=共同)

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