カナダ、対米報復関税7月1日発動 1兆4000億円分に
【ワシントン=鳳山太成】カナダ政府は29日、米国が課した鉄鋼とアルミニウムの関税に対し、7月1日に報復関税を発動すると発表した。鉄鋼やアルミ、食品など166億カナダドル(約1兆4千億円)相当の製品を対象とする。中国や欧州連合(EU)などが既に報復措置を実施しているが、規模としてはカナダが最大となる。
米国から輸入する鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す。ウイスキーやイチゴジャム、トマトケチャップなどの食品のほか、食洗機やトランプ札などにも10%を上乗せする。対象品の規模は、米国が6月1日から課した関税の影響を受ける鉄鋼・アルミの対米輸出額に基づいて決めた。
あわせて国内の鉄鋼・アルミ産業の雇用維持などのために20億カナダドルの支援策を実施する。だぶついた鉄鋼がカナダに流入しているのに対応するため、数週間以内にセーフガード(緊急輸入制限)を含む対策も検討する。
カナダは5月末、報復関税の原案を公表した。一般から意見を募ったうえで今回、発動日と対象品目を確定した。
カナダは米国にとって鉄鋼、アルミとも最大の輸入相手国だ。米関税の影響を最も大きく受けるため、報復措置も最大となる。フリーランド外相は「米国市場でカナダは常に安全で安定した鉄鋼・アルミの供給源だ」と強調し、米国の輸入制限を批判した。
トランプ米政権は安全保障を理由に鉄鋼とアルミに関税を発動。世界貿易機関(WTO)協定で認められた措置だと主張してきた。EUなどは米国の関税を実質的なセーフガードとみなして報復措置を取っているが、米政権はEUなどが逆にWTO協定に違反していると反論している。
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