2018年9月24日(月)

米中摩擦、人民元が急落 7カ月ぶり水準
当局、下落を容認 関税上げに備えか 市場に不安心理も

米中衝突
中国・台湾
2018/6/29 20:30
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 【香港=木原雄士、北京=原田逸策】中国の通貨人民元が急落している。上海外国為替市場の29日の終値は1ドル=6.6246元と昨年11月以来、7カ月ぶりの元安・ドル高水準。6月の月間下落幅は3%を超え、人民元の切り下げがあった15年8月の2.7%を上回った。米国の利上げと中国経済の減速に加え、米中の貿易摩擦が響いている。中国当局が元安を容認している、との見方も元安に拍車をかけた。

人民元の紙幣

 上海の株式市場もじりじり下落する。上海総合指数の29日終値は前日比2%高の2847.4だった。5営業日ぶりに反発したが、2年ぶりの低水準。6月の月間下落率は8%に達した。

 元売りが強まったのは6月半ば。中国政府が14日発表した5月の経済指標がふるわず、景気減速への警戒感が出た。もともと米利上げで新興国通貨には下落圧力がかかりやすい。元は年明けから対米ドルで上昇していたが、2週間で2.9%下げて帳消しになった。

 貿易摩擦も元安材料。米国は15日に500億ドル(約5兆5千億円)の対中制裁関税のリストを決めた。中国の貿易黒字が減り、経済成長が鈍化するとの見方が浮上した。24日には中国人民銀行(中央銀行)が4月に続く金融緩和措置を決め、通貨供給が増えるとの思惑から元安が進んだ。

 景気の下支えに中国当局が元安を容認しているとの見方もある。市場で元売りが強まっても、人民銀が先週まで取引の目安である基準値を市場参加者が見る実勢値より元安に設定したからだ。元安でドル換算の輸出価格を下げ、米国が科す25%の制裁関税の打撃を抑えるとの見立てだ。

 年初に1ドル=6.5元だった元相場は3月末には1ドル=6.27元まで上昇。当時は貿易摩擦の公式協議が始まっておらず「交渉で米国から『元安誘導』と批判されるのを避けるため、元高に誘導した」との見方が市場にあった。今回の元安は「協議がまとまらず、為替で米国に配慮する必要がなくなったから」との指摘が出るゆえんだ。

 米国の追加関税の発動日は7月6日に迫る。中国商務省の関係者は「米中は発動回避へ様々なルートで水面下のやり取りを続けているが、中国は同時に欧州の取り込みなど発動への備えも進めている」と明かす。例えば、人民銀の金融緩和の実施日は期限前日の5日。元安も関税発動に向けた準備の可能性がある。

 「金融恐慌が極めて高い確率で起こる」。習近平(シー・ジンピン)指導部とも近い、政府系研究者が6月下旬に出した報告書が波紋を広げる。「大企業が倒産すればすぐに国有化して危機を封じ込めるべきだ」など記述が生々しい。いまの株安と元安の同時進行は中国からの資本流出を連想させ、15~16年のように元売りに歯止めがかからなくなる恐れもある。

 大和総研の金子実主席研究員は「中国の通貨当局も元が暴落することが最も怖い」と指摘する。29日は1ドル=6.64元まで下落した後、不自然な形で元が上昇した。当局が元買い・ドル売りの為替介入をした可能性がある。足元で海外に向かうお金の資本規制も再び強めているようだ。

 15年8月の唐突な元の切り下げは世界的な株安を招き、中国当局の対応が批判を浴びた。市場の混乱や米国の批判を避けつつ、いかに緩やかに元安に誘導するか――。当局のかじ取りは一段と難しくなっている。

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