2019年8月23日(金)

大阪名物スーパー「玉出」買収の勝算 取得企業に聞く

2018/7/2 6:30
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派手な看板や「1円セール」などで知られる大阪の名物格安スーパー「玉出」の45店舗が1日、事業譲渡された。取得したのは大手鶏卵会社、イセ食品会長を務める伊勢彦信氏が率いる不動産会社だ。伊勢氏は日本経済新聞の取材に応じ、24時間営業の見直しや、今後は外部から人材を積極的に採用して経営をテコ入れしていく意向を示した。

■「新鮮で面白い」

ネオンが輝く看板も見直しを検討する

ネオンが輝く看板も見直しを検討する

「普段見るスーパーと違っていて、新鮮で面白いね」。買収決定後改めて視察に訪れた伊勢氏は派手なネオンが輝く玉出の店舗を見ながら話した。玉出は黄色と赤を組み合わせた派手な看板や「1円セール」で、大阪の名物スーパーとして関西圏で知名度が高い。最近は店舗をわざわざ見に来る訪日客の姿も見かける。

売却の話がきたのは2017年1月。不動産業に専念したい玉出の運営会社が、複数の会社に持ちかけた。伊勢氏にとってスーパーの運営は専門外の領域だったが、買収を決めたのは利益率の高さだったという。45店の売上高は約450億円。売上高に占める純利益の比率も平均的なスーパーの2倍程度あるという。伊勢氏は「十分に採算性を見込める」と話す。

■約50億円で取得へ

買収の母体となるのは伊勢会長が個人で全額出資する不動産会社のアイセ・リアリティー(東京・台東)。「イセ食品とは関係は一切ない」(伊勢会長)と鶏卵事業会社とは経営をはっきり分ける考えだ。アイセ・リアリティーは4月に卸会社や運送会社など7社と共同で、玉出を運営するための受け皿会社、フライフィッシュ(大阪市)を設立。このフライフィッシュが営業権を約50億円で取得した。アイセ・リアリティーは筆頭株主として35%を出資し、アイセの代表取締役、湯本正基氏がフライフィッシュ社長に就く。今後は5年後をめどに出資する各社の株式を買い取る方針だ。

玉出の当面の経営方針について、伊勢会長は「地域密着は残して、(経営を)テコ入れしていく」と語る。玉出は大阪市内の店舗に比べて郊外店は苦戦が目立つ。人件費の高騰で買収後にすぐ着手するのが、24時間営業の見直しだ。また、名物の「1円セール」についても「完全に赤字」といい、当面は継続するが、見直す方向。看板も変更を検討する。人材面で小売り経験者を外部から採用するほか、「社内にもっと若い人を招き入れていく」。

■コンプライアンスを徹底

名物「1円セール」も見直しを検討する

名物「1円セール」も見直しを検討する

玉出は名物スーパーとして知られる一方で、過去に外国人留学生の違法労働が発覚したほか、皮付きフグを販売し大阪市から行政処分されたこともある。アイセ・リアリティーの担当者は「法令順守(コンプライアンス)は徹底する」と述べる。食材や商品の納入先約200社の取引先について全て調査し問題ないと判断、契約の更改を進めている。

玉出に来店する20代男性は「これまで玉出の生鮮食品に手を出せなかった。食品の安全性をしっかりと説明してもらいたい」と語った。大阪市内に暮らす50代の女性は買収後、「1円セールや看板といった玉出らしさが無くなるのは寂しい」といい、買収後も玉出らしさを残せるかに関心を寄せる。

(大阪経済部 荒尾智洋)

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