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賭けた「負け残り」 西野監督の戦略と野心

2018/6/29 19:00
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後半、途中出場する長谷部(左)と言葉を交わす西野監督=三村幸作撮影

後半、途中出場する長谷部(左)と言葉を交わす西野監督=三村幸作撮影

日本は1998年のW杯デビューから退場者を出したことがないチームだ。ポーランド戦でその記録は20試合に伸びた。故意にケガをさせるような汚い反則、過剰な演技や抗議で不必要な警告をもらわないのも一因だろう。警告数の少なさでセネガルを上回り、16強進出を決めたのは、そんな日本の美質へのご褒美だったのかもしれない。

1次リーグ3戦目で先発を6人入れ替えた。コロンビア、セネガルと戦って勝ち点4の代償は大きかった。「目に見えない疲弊、ダメージがあって」と西野監督。

それならばと武藤、酒井高、宇佐美ら「フィジカル的にいい状態の選手」を出したが、起用は当たったとは言い難い。180分間の激闘のさなかに急速に感性を研ぎ澄ませた過去2戦の面々に比べ、どうしても甘さがピッチに散見した。

59分にFKから失点すると、47分の大迫に続いて65分に乾を投入し追いつきにかかる。しかし、74分に同時進行のコロンビアが先制したとの報が入ると、西野監督に迷いが膨らんだ。フェアプレーポイント(警告数や退場を数値化したもの)による"負け残り"という「まったくプランになかった選択が生じた」からだった。

ハーフタイムに「守り切る考えはここに置いていけ」とロッカールームで叱咤(しった)したばかり。これから出さなければならない指示は正反対のものになる。

2002年日韓大会では"和議"を望んだポルトガルが韓国に拒まれ、撃沈された例がある。眼前のポーランドがどう出るか。セネガルがコロンビアに追いついたらどうする。「自力ではなく他力」に自身の運命を委ねるリスクは承知の上で、監督は腹をくくった。82分に投入された長谷部が伝令役を務めた。

ただにらみ合うだけになった両チームに大音量のブーイングが浴びせられた。「不本意ではあるが(1次リーグ突破という)正解と出れば勝負には勝ったことになる。選手は指示を忠実に遂行しただけ」と西野監督。

監督がそこまでして決勝トーナメント進出にこだわったのは、そこで相手に一泡吹かせる戦略と野心があるからだろう。日本のW杯16強の戦いは02年、10年に続く3回目になるが、「過去2回はその時点ですべて出し尽くしていたというか。勝ち上がった喜びで満足するのでもなく、いい精神状態でこれまでとは違うものをぶつけさせたいと考えている」。

先発の入れ替えという名の主力の温存も不本意な采配も、根底にはこれまでの日本を今大会で越えるという大望があるからやったこと。ベルギーを相手にする16強の戦いに、それだけ期するものがあるということだ。

(ボルゴグラード=武智幸徳)

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