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サッカー日本代表の西野監督は投資向き指導者

サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の日本対ポーランド戦。試合終了前10分に勝ちを捨て、ひたすら守りに徹した日本の戦術に、議論が沸騰している。

会場は大ブーイングであったが、投資家目線なら、評価されるべき行動だ。いわば「期末に負けを最小限にとどめ、今期は勝ちで収める」といったところか。

筆者もスイス銀行のトレーダー時代に、スイス人の上司から「攻めて勝つより、守って勝つほうが難しい」と叩きこまれたものだ。

「フェアプレーポイント」という評価も興味深い。企業内人事評価との相似点を感じる。リスクを取らなければ、イエローカードをもらう可能性も減る。減点主義の人事考課では、出世コースに勝ち残れるかもしれない。

ただし、コンプライアンス(法令順守)ばかりでは、イノベーションも生まれない。コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)も想起させる制度だ。

各国代表チームの勝敗が現在の欧州情勢を象徴する展開も印象的だ。

メルケル首相が凋落傾向のドイツは屈辱の敗北。英国は欧州連合(EU)本部があるブリュッセルを首都とするベルギーに敗れた。メイ首相は、EU離脱交渉が遅々として進まず、国内外から四面楚歌(そか)の状況だ。

おりしも、EUサミットが、移民問題を巡り紛糾。欧州の内部亀裂が露呈している。W杯でも、移民家族出身のプレーヤーの活躍が目立った。

国と国がぶつかり合うサッカーの試合も、経済目線では、違った景色が映る。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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