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リスク承知の負けて良し 日本、薄氷の16強

残り10分ほどになって日本は戦うことをやめた。長谷部が交代でピッチに入ると監督からの指示が伝達される。「このままでいく。イエローカードには気をつけること」

H組のもう一戦、セネガルがコロンビアにリードされた。そのまま時間が過ぎれば累積警告2つの差で日本は同組2位を確保できる。最終ラインより前にボールを運ぶ意志を放棄し、ポーランドもそれを受諾したかのように奪いにこなくなった。耳をつんざくブーイングが会場に鳴り響いた。

試合終了後、硬い表情で選手と握手する西野監督(左から2人目)=三村幸作撮影

もしセネガルが土壇場で追い付いていたら……。自分たちではどうにもできない外的要因がある以上、危ない橋であったはず。それでも長谷部はチームの総意を代弁して答える。「この世界は結果論。議論はあるにしても、結果を得られたことは非常にうれしく思う」。それに正面から異議を唱えることはできまい。

長谷部が続けて言うことにも一理ある。「ああいう状況では曖昧にするのが一番良くない。点を取りにいけばカウンターで0-2になる恐れもあった。誰かが決断せねばならない」。その責を一身に背負ったのは西野監督であり、肝が据わっていることは確かだろう。

勝ち点でリードがあったとはいえ、先発を6人も入れ替えた。「即席メンバー。難しさはあった」と武藤は語る。先の決勝トーナメント1回戦に照準を絞るためのメンバー温存策は、セネガル戦後の早い段階で監督の腹にあったらしい。先のことを考えすぎて鬼に笑われかねない、一つの賭けだが、その度胸の良さが運も引き寄せるようだ。

批判を受けることがあるとすれば攻めを放棄した策ではなく、勝って自力で次のラウンドへ道を開けたであろうに、それをし損ねたことだろう。

相手の守備陣は緩慢でミスも多く、最終ライン手前でフリーになれたが、宇佐美らが進入を繰り返しても仕留められない。暑さもあり日本の足は重く、ポーランドの緩いリズムにお付き合いするだけ。空中戦で劣るだけにこぼれ球を拾えなくなり、ボールを動かすどころか持つことも難しくなり、FKで失点。「セットプレーでの失点が続いていて、何度も練習をしてきたのに。やるせない」と長友は悔しがる。

休んだ選手が戻る次戦は別の日本になるのだろう。ただポーランドの圧力はさほどでもないのにいっこうにギアが上がらなかった凡戦には、もどかしさが残る。

ひとまずは、ここでW杯が終わらず「夢がつながっている」(長友)ことを良しとしたい。

(ボルゴグラード=岸名章友)

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