電気・ガス、値上げの夏 東電は3年ぶり水準
電力とガスの大手14社がエネルギー使用量の多くなる8月、家庭向け料金をそろって引き上げる。原油や液化天然ガスが値上がりしており、再生可能エネルギーの普及促進に伴う上乗せ金も響く。東京電力は平均的な使用量(月260キロワット時)で7000円を超え、3年ぶりの水準になる。
東京電力ホールディングス(HD)など電力大手10社と都市ガス大手4社が28日、8月の電力・ガス料金を発表した。各社の上げ幅は13~37円。原燃料価格の変動を料金に反映する制度にもとづいてはじいた。

東電HDの小売り会社、東京電力エナジーパートナーは前月比37円高い7015円となる。7カ月連続の値上げで、東日本大震災の前に比べ25%(約1400円)高い。
関西電力は7月、大飯原発(福井県)の再稼働を受けて前月比226円安い6691円とした。ただ、8月は6709円と再び上げる。同月は主に冷房によってエネルギー使用量が多くなる。各社の値上げで家計の負担が増え、個人消費に影響が出る可能性がある。
電力代上昇の背景には燃料価格の高騰が続いている事情がある。8月の料金は3~5月に輸入した原燃料の平均価格から算出される。米国によるイラン制裁の観測などによって原油価格が高騰し、5月にドバイ原油が75ドルを突破した。石炭価格も上昇している。
電力代の上昇には太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入を促す政策も関係している。再生エネ事業に取り組む企業の高い売電価格を保証するため、そのコストが家庭向け料金などに上乗せされる。東電では、この8月に震災前と比べて約1400円高くなるうち、半分が上乗せ金だ。
政府が電力代の値下がりを期待した16年4月の自由化では、平均5%程度の下落にとどまった。本来コストが安いとされていた原発は再稼働の安全対策コストが上がっているうえ、そもそも再稼働の増加は見込みにくい。加えて、再生エネの上乗せ金は30年代まで上昇すると見込まれている。中長期でみて、消費者の負担を軽くするためエネルギー業界の一層の競争促進が求められている。