2019年1月17日(木)

中国マネーすでに急減 米審査厳しく
17年の対米直接投資35%減

2018/6/28 17:28 (2018/6/28 20:24更新)
保存
共有
印刷
その他

【ワシントン=河浪武史】中国の対米投資は既に急激な落ち込みをみせている。対米外国投資委員会(CFIUS)は独自で中国企業の審査を強めており、2017年の中国からの対米直接投資は前年比35%も減った。米市場を支えてきた中国マネーの"遮断"は、知的財産権の侵害など中国への議会や産業界の反発の強さが背景にある。

アリババ集団系の金融会社アント・フィナンシャルは、米当局の承認が得られず米企業の買収を断念した(中国・杭州のアント本社)=ロイター

調査会社ロジウム・グループによると、17年の中国勢の対米直接投資額は294億ドル(約3兆2千億円)と前年比35%減り、さらに18年1~3月期はわずか14億ドルにまで落ち込んだ。中国の対米投資は16年に456億ドルと10年間で20倍以上に膨らんだが、当局の規制強化もあって急激に縮小している。

CFIUSも中国企業の投資審査を強めている。アリババ集団系の金融会社、アント・フィナンシャルは1月、CFIUSの承認が得られず米送金サービス大手の買収を断念した。トランプ大統領もCFIUSの勧告に基づいて、中国系投資ファンドによる米半導体メーカーの買収を差し止めたことがある。

トランプ氏が11月の中間選挙をにらんで中国との短期の「ディール(取引)」に固執しているのに対し、米議会は中国のハイテク産業に中長期的な対抗策を練ってきた。CFIUSの権限が法的に強化されれば、中国はトランプ氏との取引に頼れなくなる。米議会主導での中国マネーの制限策は、米中摩擦が簡単には解消できなくなることを意味する。

実際、米議会の諮問機関である米中経済安全保障委員会(USCC)は16年時点で「中国国有企業の米企業買収を阻止するため、CFIUSの権限を強めるべきだ」とする報告書を出している。米産業界が中国の知財侵害やサイバー攻撃を問題視して、長期にわたって議会にロビー活動を繰り広げてきたためだ。

中国マネーを一時的に失えば、米産業界の資金調達にも支障が出る。それでも米議会が強硬措置に動くのは「短期的な損失はあるが、今ここで中国をたたいておけば、ハイテク分野や軍事分野で中長期的に米国の優位を維持できる」(ハイテク分野の米ロビイスト)との計算が背後にある。

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報